2006 Fiscal Year Annual Research Report
畜産系バイオマスを対象とした磁気力援用型嫌気消化プロセスの確立
Project/Area Number |
18510079
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
矢野 歳和 宮城大学, 食産業学部, 教授 (30404841)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 一高 神戸大学, 農学部, 助手 (50396256)
|
Keywords | 嫌気消化 / 磁気力 / マグネタイト / 畜産系バイオマス / 微生物固定 |
Research Abstract |
嫌気消化プロセスの主役を担うメタン生成菌は絶対嫌気性であることから増殖速度は遅く、反応速度の向上の大きな阻害要因となっている。解決策としてリアクタ内における菌体の高密度化が挙げられる。リアクタ内に高い菌体密度を保つために、大量の微生物担体を用いる方法は、リアクタのスタートアップ時に高度な技術を必要とし、現場で運転する大型リアクタには不向きである。本研究ではメタン生成菌をリアクタ内に磁気力によって保持することを目的として、マグネタイトを用いた磁性付与法の検討を行った。 畜産糞尿を主たる投入源とするフルスケールのメタン発酵プラントから排出された消化液を種汚泥とし、酢酸を基質として数ヶ月間の馴養を行った。メタン生成菌および嫌気性汚泥へ磁性を付与するために、リアクタから採取したサンプルに対し強磁性物質であるマグネタイトを添加した。メタン生成菌への磁性付与を確認するために、位相差蛍光顕微鏡による観察を行った。嫌気性汚泥にマグネタイトが絡むことを確認した。蛍光観察を行ったところ、マグネタイトの黒色粒子が補酵素F420の働きによって自己蛍光する小荷物状のメタン生成菌に直接絡んでいることが判明した。磁気力による菌体保持の可能性を調べるため、ネオジム磁石を菌体周辺に近接させたところ、嫌気性汚泥およびメタン生成菌いずれも磁気力で移動した。実際のメタン発酵では、生ごみや畜産糞尿が投入され、より高い懸濁物質濃度になる。嫌気性汚泥にメタン生成菌が絡んでいる場合が多いことから、嫌気性汚泥を含んだ形での磁気力によるメタン生成菌の保持は可能であると判断できた。
|