2007 Fiscal Year Annual Research Report
デンドロン型リガンドを用いた金属ナノ粒子のサイズ・形状制御
Project/Area Number |
18510088
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鳥越 幹二郎 Tokyo University of Science, 総合研究機構, ポストドクトラル研究員 (00307696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 正彦 東京理科大学, 理工学部, 教授 (40089371)
酒井 秀樹 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (80277285)
庄野 厚 東京理科大学, 工学部, 准教授 (20235716)
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Keywords | 金属ナノ粒子 / マイクロリアクター / サイズ制御 / デンドロン / 逆ミセル |
Research Abstract |
金属ナノ粒子の諸物性(光学・電気・触媒特性など)はそのサイズや形状に強く依存する。従ってサイズ・形状の揃った単分散ナノ粒子の調製法の確立は、学問的にも工業的にも重要である。単分散金属ナノ粒子の調製には、粒子の結晶成長を制御し粒子相互の凝集を抑制するための保護剤(リガンド)とともに、粒子の調製方法もキーポイントとなる。例えばアルカンチオールは金属表面と化学吸着するため、単分散金属ナノ粒子の調製と分散安定化に多く利用されてきた。しかし、アルカンチオールは金属表面への被覆率が高いため、金属表面の活性を下げ、触媒特性を低下させる傾向がある。一方、傘状の分子構造をもつデンドロンは、その柄に相当する焦点部のみで金属粒子表面に吸着するため、被覆率が低く、金属表面の活性を保つことができる。また、嵩高い分子構造のため、粒子間凝集も効果的に抑制できると考えられる。そこで、本研究ではまず焦点部にチオール基またはアミノ基を有するポリ(ベンジルエーテル)デンドロン(PBED-SH,PBED-NH_2)、および焦点部にポリオキシエチレン鎖を付与したポリ(ベンジルエーテル)デンドロン(PBED-PEG)を合成し、次にこれを用いてパラジウム(Pd)ナノ粒子の調製を行った。調製方法はマイクロリアクター系と逆ミセル系の2種類を試みた。 (1)マイクロリアクター系:初めにPd金属前駆体であるパラジウム(II)アセチルアセトナト錯体(Pd(acac)_2)とPBED-SHおよびPBED-NH_2(世代G1-G3)をモル比1:1-1:5で高沸点溶媒であるジフェニルエーテル(bp.259℃)中に溶解させた。次にその溶液をマイクロシリンジに装填し、体積速度2.5-500μl min^<-1>でシリーカキャピラリー中に排出した。シリカキャピラリーの内径は150,200,320μmの3種類を用いた。キャピラリーの全長は2mであり,中間部の1.5mシリコンオイル熱浴中に浸した。熱浴の温度は140-200℃に設定した。Pd(acac)_2は熱浴中で熱分解し、acac配位子の酸化脱離と共にPd(II)イオンが還元されてPdナノ粒子を生成することが、UV-vis吸収スペクトルから確認された。Pdナノ粒子のサイズは線速度の増加に伴い減少すること、線速度一定の下では体積速度とキャピラリー内径に依存しないことが分かった。また粒子サイズはデンドロンの世代増加(G1-G3)に伴って減少するが(4.7-2.8nm)、前駆体濃度(1-27mMには依存せず一定値(3.1±0.2nm)を示し良好な単分散性(相対標準偏差〓10%)を保った。一方、バッチ系では前駆体濃度の増加と共に平均サイズの増加と単分散性の低下が顕著に見られた。これらの結果はナノ粒子の大量合成にマイクロリアクターが利用できることを示している. (2)逆ミセル系:疎水性のデンドロン部G2-PBEDとエチレンオキシド鎖が6のものを合成した。これはトルエンおよびアニソールに可溶であったが、逆ミセルの形成には至らなかった。
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Research Products
(2 results)