2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18510092
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Toyota Physical & Chemical Research Institute |
Principal Investigator |
張 紀久夫 (財)豊田理化学研究所, フェロー (60013489)
|
Keywords | 誘起分極 / 繰り込み / 電磁場グリーン関数 / 完全系展開 / 巨視的マクスウェル方程式 / 長波長近似 / メタマテリアル / 磁気双極子遷移 |
Research Abstract |
1.線形・非線形および共鳴・非共鳴の成分からなる物質中の誘起分極と電磁場の相互作用を(キヤビティモードの存在を前提として)コンシステントに扱うための理論的基礎として、線形・非共鳴成分を繰り込んだ電磁場グリーン関数を解析的な形に書く定式化を行った。電磁場の完全系をメッシュ空間で近似することにより任意形状の媒質を扱う数値解析法として次年度以降に具体的応用へ展開する。 2.さまざまな分極の電磁場への繰り込みを考えるとき、線形分極を全て繰り込んだものが巨視的変数だけで書けているという場合、巨視的マクスウェル方程式(M-eqs.)による扱いが成り立つ。この繰り込みを従来行われたことのない「微視的感受率に長波長近似を加える」という論理的に簡潔な方法で行ったところ、ただ1つの巨視的感受率で記述される巨視的M-eqs.が得られた。この巨視的感受率は電気・磁気分極とその干渉項を全て含んでいて、反転対称があるときに初めて従来の電気・磁気感受率に帰着されるという、一般性の高いものになっている。これによって従来の巨視的M-eqs.の導出において「電流密度を電気・磁気分極成分に分ける際の唯一性の欠如」や「微視的理論では1つで済む感受率が巨視的理論では何故2つになるか?」という点で疑問視された問題が解決される。また、微視的考察とのつじつまを保つためには、磁気感受率として磁場HではなくBに対して定義されたものを用いることが本質的に重要であることも指摘した。これは現在盛んなメタマテリアルのモデル計算に重要な影響を与え得る点であり、次年度以降に具体的な検討が必要となる。また、透磁率μとして、低エネルギー域のスピン共鳴項と高エネルギー域の軌道磁気双極子遷移を同時に含む一般的表式を初めて与えた。この成果は半導体国際会議で初期の部分を発表し、全体像は現在投稿中である。
|