2006 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブによるセラミックスの高靱化と多機能化
Project/Area Number |
18510094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大森 守 東北大学, 大学院工学研究科, 研究支援者 (30005954)
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Keywords | カーボンナノチューブ複合材料 / セラミックス複合材料 / ナノ複合材料 / カーボンナノチューブ / ハイドロキシアパタイト / アルミナ / 前駆体 / アルミナ複合材料 |
Research Abstract |
高強度、電気伝導性、低摩擦係数等の特性を持つカーボンナノチューブとセラミックスとを複合させ、優れた特性を持つ複合材料の開発が世界的規模の競争下で行われている。これまでのところ工業製品になる性能の高い複合材料の合成は行われていない。その理由として、本研究者らは合成の出発原料にセラミックス粉を利用しているためと考えた。ハイドロキシアパタイトの原料に、6モルのCaHPO_4・2H_2Oと4モルのCa(OH)_2の混合原料を利用し、多層カーボンナノチューブ(MWNT)と混合し、複合材料とする焼結の過程でハイドロキシアパタイト(HA)に変換させて複合材料の組織制御を行った。その結果、100nm以下のHAのナノ結晶とMWNTとが絡み合ったナノ複合体が生成し、それがHAマトリックス中に分散した複合材料を合成することに成功した。この複合材料の靭性はHAのそれより1.5倍以上大きくなっているが、HA自体の強度が小さいために使用範囲は限定される。 強度が大きくて広範囲で応用が期待できる複合材料の開発のため、セラミックスにアルミナを使用することを次に考えた。アルミナの前駆体として水酸アルミニウムを使用した。水酸化アルミニウムから生成したアルミナ焼結体では、アルミナの結晶が大きく成長し強度を低下させるため、MgOなどの酸化物の添加が必要である。この水酸化アルミニウムとMWNTとから合成した複合材料においても、100nm以下のナノアルミナ結晶とMWNTとが絡み合ったナノ複合体を生成させることに成功した。その結果アルミナ系複合材料の靭性をアルミナのそれより大きくでき、さらに電気伝導性や低摩擦係数等の特性を付与でき、実用材料として応用できるようになった。
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