2007 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブによるセラミックスの高靱化と多機能化
Project/Area Number |
18510094
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大森 守 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 研究支援者 (30005954)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 複合材料 / 放電プラズマ焼結機 / ハイドロキシアパタイト / アルミナ / 水酸化アルミニウム / 終結 / 前躯体 |
Research Abstract |
本研究では、カーボンナノチューブの高強度やその他の優れた特質を生かすため、酸化物セラミックスとの複合材料の合成し、それを工業製品として利用することを目的にしている。これまでにもセラミックスとの複合材料は合成されてきているが、材料として使える強度を持った複合材料は作られてこなかった。従来の合成で行われてきたセラミックス粉を使用する代わりに、加熱によりセラミックスになる前躯体の使用を試みた。本研究では、生体材料として最も重要なハイドロキシアパタイトと、汎用セラミックスとして最も使われているアルミナとを選んだ。ハイドロキシアパタイトの前駆体には6モルのCaHPO_4・2H_2O(CDPH)と4モルのCa(OH)_2(CHO)の混合原料、アルミナの前躯体にはAl(OH)_3を使用した。カーボンナノチューブとしては価格の低い多層カーボンナノチューブを用いた。多層カーボンナノチューブには、グラフェンシートの厚さの違う肉薄と肉厚の2種類が存在している。世界中のほとんどで使用されているのは肉薄のほうである。ハイドロキシアパタイトと肉薄多層カーボンナノチューブからは、強度と靭性とが大きい複合材料の合成に成功した。しかし、ハイドロキシアパタイトの強度と靭性とが小さいため、それより50%程度それらが大きくなっても、工業製品にはなりえないことが分かった。アルミナについては、肉薄多層カーボンナノチューブ使った場合、それが塊で分散し、複合材料の強度と靭性とはその添加量に伴って急速に低下した。肉厚多層カーボンナノチューブを使ったところ、カーボンナノチューブが塊で分散することがなくなり、強度と靭性とはその添加量を増やしても低下が小さく、5mass%の添加でも曲げ強度は400MPa以上ある。セラミックスにおいては400MPa以上の強度があれば実用可能なので、アルミナ系の複合材料は工業製品として使用できる。これに関しては2件の特許の申請を行った。
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