2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子レベルでの酵素分子配向制御による機能性デバイスの創成
Project/Area Number |
18510097
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
末 信一朗 福井大学, 工学研究科, 助教授 (90206376)
|
Keywords | 分子配向 / 電極 / バイオセンサ / L-プロリン脱水素酵素 / 耐熱性酵素 / L-プロリン |
Research Abstract |
超好熱アーキアThermococcus profundus由来の耐熱性L-プロリン脱水素酵素(L-ProDH)は、四種類のα,β,γ,δサブユニットから構成され、100℃付近でも安定で、変性せずに活性を維持できることが報告されておりバイオセンシングのための生体触媒素子として有用である。本酵素は、L-プロリンを基質としてこれを酸化しピロリン-5-カルボキシレートを生成する反応を触媒する。このとき、2,6-dichroloindophenolといった色素などを電子受容体として電極基盤上での電子授受が進行するが、この電子伝達には一定の方向性があることが解っている。本電極基板上での酵素の配向性を制御しながら直接固定化するため、本酵素の各サブユニットのN末端にHis-tagを導入し、これを電極上に金属分子を介して配向的に固定化し、酵素反応に基づく電気化学的測定を行い、酵素の分子配向による電子伝達について検討した。His-tagを発現するpET15bベクターにβサブユニット遺伝子を導入したpET15b/β-Hisプラスミドと、pET15bと相同性のあるpET11aベクターにその他のサブユニット遺伝子を導入したpET11a/α,pET11a/γ,pET11a/δプラスミドとを用いて制限酵素処理、blunting、ligationを行い、βサブユニットのN末端にHis-tagを導入したL-ProDHを発現するプラスミドpET11a/α,γ,δ,β-Hisを構築した。大腸菌Rosetta-gami DE3に形質転換し、組換え体を培養後、集菌、菌体破砕、加熱処理を行い、精製L-ProDHを得た。次に、His-tagタンパクを特異的に固定化させるニトリロ三酢酸(NTA)固定化法を用いて、金電極上にカルボキシル基の導入、活性化を行い、次いでNTA、Niを固定化し、最後にHis-tag L-ProDHをNTA修飾金電極上に固定化した。酵素基質であるL-プロリンの添加によって、酵素反応に基づく電流応答を比較した。その結果、αサブユニットとγサブユニットHis-tagを導入した酵素に対してβサブユニットのN末端にHis-tagを導入した酵素では電流応答が極端に小さかった。これは、触媒部位が電極側に向いていることと酵素分子内の電子伝達の流れがバルク側に向いていることに起因するものと考えられる。
|
Research Products
(4 results)