2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロサイズ反応場を用いた光による金属ナノ粒子の構造制御
Project/Area Number |
18510098
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辻 剛志 九州大学, 先導物質化学研究所, 助手 (50284568)
|
Keywords | ナノ材料 / 光物性 / 表面・界面物性 / マイクロチップ |
Research Abstract |
我々は水中レーザーアブレーションで作製した銀コロイドに再度レーザー光や蛍光灯を照射することによって、ナノワイヤー、ナノプリズム、ナノロッド等、様々な異方性形状粒子が生成することを明らかにしている。本研究課題では、これらのナノ物質、特に球形粒子がナノプリズムやナノロッドに転換する現象について重点的に生成メカニズムを明らかにすることを目的としている。 また、昨年度までの研究によって少量の塩化物を添加することによってナノプリズムやナノロッドの生成が促進されることが見いだされており、本年度の研究では、第一にこれを切り口に生成機構を明らかにすることを試みた。まず、ナノプリズムやナノロッドの生成が塩化物以外のヨウ化物を添加した場合にも現れ、かつ塩化物の場合よりも促進されることがわかった。このことから、形状転換にはハロゲンによる銀のエッチング過程が含まれていることを推定した。さらに、原料の銀コロイドにこれまでよりも粒径が小さなものを用いた場合にも形状転換は促進され、エッチング作用が含まれていることを支持すると共に、AgCl_2^-の存在が確かめられたことによってエッチング反応の中間体が明らかになった。また、照射光の波長による形状転換効率や生成物の形状の変化についても調べた。これまでの所、波長によるこれらの性質の明確な違いは見出されなかったが、AgCl_2^-の吸収帯よりも遙かに長波長である700nmの光によっても形状転換が起こることが見出されており、形状転換はAgCl_2^-の光還元によって起こるものでは無いことが明らかになった。 一方、本研究課題のもう一つの目標である、照射系のマイクロサイズ化については、用いているコロイドが不安定であり、マイクロチップ表面に吸着するなどの問題が生じており、来年度以降、引き続き改良を行う予定である。
|