2006 Fiscal Year Annual Research Report
電解還元法によるリチウム電池用正極材料のナノ構造制御
Project/Area Number |
18510111
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
片倉 勝己 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (80169466)
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Keywords | スピネルマンガン酸リチウム / 電解還元沈降法 / 電気化学QCM / 微細形状制御 |
Research Abstract |
スピネルマンガン酸リチウムを代表とするリチウム含有マンガン系酸化物材料にターゲットを絞り、電極基盤上への電解還元沈降法による析出条件が、生成物の微細形状に与える影響をSEMを用いて詳細に検討するとともに、生成物の析出過程を、電気化学的水晶振動子微小秤量装置(電気化学QCM)を用いて動的に追跡し、微細形状制御に関する検討を行い以下の結果を得た。 (1)リチウム含有マンガン系水酸化物合成に及ぼす電気化学パラメータ(電流密度、電解質濃度、溶液pH)の影響を検討したところ、電流密度および電解質濃度による析出物の形状への顕著な影響が観測された。電気化学QCMを用いてマンガン系水酸化物の生成過程を追跡したところ、高電流密度、低電解質濃度のような電解条件ではマンガンイオンの拡散が電析過程を支配し、この領域では直径が1即以下の微細な円盤状結晶が生成すること、さらに低電流密度、高電解質濃度のような領域では溶液pHおよび電荷移動が電析過程を支配し、これらの領域では数μ以上の結晶の成長や、高濃度領域での析出抑制領域の存在が確認された。また、さらに高濃度において極めて大きなアモルファス状の析出物が得られることも分かった。 (2)(1)で得られたマンガン系水酸化物を、各種水酸化アルカリ水溶液との接触を通じて、アルカリ金属を含むマンガン系水酸化物を合成しその熱処理を試みたところ、電析時の電解質濃度や電流密度に関係なく、マンガン酸リチウム系材料およびその前躯体の合成に成功した。また、この処理の際、電析時の微細形状がほぼ保たれていることが確認された。 (3)(2)で得られた生成物は、リチウム塩水溶液から可逆的にリチウムイオンを挿入・脱離できることを確認され、既存方法で作製したリチウム含有マンガン系酸化物電極に比べて高いレート特性を有することが分かった。 本研究で得られた成果の一部は関係学会で口頭発表により公表したが、学会誌への投稿も準備中である。
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