2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本及びアジア地域に関するソブリンリスク計量モデルの構築
Project/Area Number |
18510119
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
宮崎 浩一 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 准教授 (10334575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 隆康 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (60361888)
石井 昌宏 大東文化大学, 経営学部, 准教授 (90323881)
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Keywords | ソブリンリスク / 自国通貨建て債務 / 外貨建債務 / マートン・モデル / 重回帰モデル / ベクトル自己回帰モデル / インフレーション・リスク / 為替リスク |
Research Abstract |
本年度の研究成果は,主に,次の3点である. (1) 信用リスク(クレジットスプレッド)に対してインフレリスクが与える影響についての理論的な研究成果を国際会議で発表した.資産価格プロセスとインフレプロセスとの相関係数が正で高い場合には,通常の債券を発行するよりもインフレ率に連動する債券を発行する方が有利(クレジットスプレッドが小さくなる)となるケースが見られることが数値例から把握することができた.また,国の資金調達コストの低減策の一つとしてインフレ連動債を発行することに理由付けができた点が重要である. (2) 平成18年度に行った構造モデルを利用したソブリンリスク計量モデルを為替レートやインフレに関するショックを考慮することができる形に拡張した.アジア通貨危機以後,各国とも為替管理政策により外準を増加させていることや貿易収支が安定的に黒字となっていることなどからデフォルト確率は減少傾向にある.しかし,為替,自国物価,米国物価に大きなショックが発生した場合には,デフォルト確率が上ぶれする可能性もあることを喚起することができた点で意義深いと考えられる. (3) これまでの研究成果を踏まえた知見は,構造モデルのアプローチに基づく計量モデルは,国別にデフォルト確率の時系列的な変動を捉える際に有効であるのに対し,回帰モデルのアプローチに基づく計量モデルはアジア地域の国々におけるデフォルトリスクの相対的な評価を行う際に利用価値が高いことである.
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Research Products
(4 results)