Research Abstract |
本研究は,金融工学,数理・計量ファイナンスにおける最近の研究動向を踏まえ,摩擦のある(すなわち,取引費用・手数料・税金を無視できない)金融市場に現れる金融工学的諸問題,とりわけ, 1.資産選択問題, 2.ポートフォリオ選択問題, 3.デリバティブの価格付け・複製・リスクヘッジ問題, 等に対して,問題の定式化の検討から始まり,それらに対する解析的・数値的な金融工学手法の確立を目標とした総合的な研究を行うことを主たる目的とするものであった. その目的のため,本年度も,摩擦のある金融市場における資産の運用と価格付けに関する金融工学手法の,現在における世界の研究状況を正しく把握するため, 1. 最新の結果を収めた国内外の学術文献を入手し, 2. 国内外の指導的研究者との活発な情報・意見交換を行った. とりわけ,取引費用が存在する場合の資産の運用と価格付けについてのモデリング,それらに対する方法論として,インパルス制御理論の経済学・ファイナンス・金融工学への応用研究 に関連する文献の収集と最新の研究動向に関する情報を収集するために,関連する研究を行う国内の指導的研究者を迎えての小規模なセミナー,研究集会,ワークショップ,等に積極的に参加して,研究情報の収集・交換を行った. 一方,申請者が従来から行っている 1. エキゾチック金利デリバティブの価格付けと最適権利行使戦略の研究, 2. 金融資産市場における投資主体のリスクに対する態度の変化が均衡資産価格に与える影響についての比較静学についても,さらに研究を推し進め,興味深い結果を得て,国内において開催された関連するセミナー,研究集会,等で研究報告を行った.
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