| Research Abstract |
本研究は,市民対象のまちづくり学習を,既存研究によってその効果が断片的に確認されてきた「メディア開発型学習」のこれまでの問題点と課題を多角的に検証した上で、それらを克服した新規の「メディア開発型まちづくり学習プラン」(=学習工程内に,学習者が習得したまちづくり関連知識や技術を,第三者に一定の精度をもって明快に伝えていく「訓練段階」を内在化させた学習形態)を,運用上のガイドラインとともに開発する目的で,平成18年,19年にわたって実施された。平成19年度は,前年度までの成果を踏まえ,以下の研究課題に取り組んだ。
1)前年度に設計した「メディア開発型まちづくり学習プラン」を,さいたま市岩槻区在住・在勤の市民を対象に試験的に運用し,当プランの有効性に関する実証的検証を試みた。具体的には,筆者らがプランの全工程に指導者及び観察者として全面関与し,学習者の,(1)全工程における指導者のインストラクションに対する反応,(2)「まち知識」,「まちを捉える視点」,「まちづくり活動への意欲」等についての変化点とその要因,(3)学習者同士の段階的、連動的変化等を観察対象とするアクションリサーチを行い,この間に収集された質的データの分析を行った。その結果,当プランの支柱として導入された<インタビュー実習(=学習成果を第三者に一定の精度をもって明快に伝えていく訓練段階)>が,学習者のまちづくりに対する基本スタンスを形成し,現場対応型の知識・技術等を多面的に修練する上で有効である点が確認された。
2)上記の実験的試行を踏まえ、当プランの運用上の問題点と課題を総合的に抽出した上で、当プランに修正を加え、市民向け「メディア開発型まちづくり学習プラン」(最終版)を策定するとともに、当プランの効果を最大化する観点から運用上の諸ルールを規定し,学習対象者及び提供者と想定される市民や行政・まちづくりNPO関係者向けのマニュアルを作成した。
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