Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 利治 南山大学, 数理情報学部, 教授 (40025911)
伏見 正則 南山大学, 数理情報学部, 教授 (70008639)
青山 幹雄 南山大学, 数理情報学部, 教授 (40278073)
土肥 正 広島大学, 大学院工学研究科, 教授 (00243600)
|
Research Abstract |
平成18年度は,ソフトウェア・イー・メインテナンスを実現するための,数理モデルの開発を中心にしたプロジェクト運営を行った.特に,自動化にとって重要な課題となるデータからのモデル同定手法と,多種の要因を取り込むモデルの開発を行った. 具体的な成果は以下の通りである. (i)モデル同定手法:主として,従来からソフトウェア信頼性分野で用いられる非同次ポアソン過程に対するパラメータ手法の改良と,マルコフ過程に基づいた新たなソフトウェア信頼性モデルとそのパラメータ手法の開発に分類できる.伝統的な非同次ポアソン過程に対する推定では,数百種類存在する既存モデルを統計的な性質に基づいて,12種類の基本モデルとそれらの派生モデルのカテゴリに分類し,正規分布,極値分布,ロジスティック分布に属するモデルに対する統計的な考察を行った.他方,ポアソン過程をマルコフ連鎖と言う観点から拡張したマルコフ変調ポアソン過程に基づいた新たなソフトウェア信頼性モデルの枠組みを考案し,EMアルゴリズムを適用した効率的なパラメータ推定手法とAICを適用したモデル同定手法を確立した.また,同種のモデルにおいて,従来の最尤推定手法による点推定を拡張し,ベイズ推定を基礎とした区間推定の枠組み対する検討を行った.実際に,変分ベイズと呼ばれる近似手法がソフトウェア信頼性モデルにおいて大きな期待が持てる手法であることが確認され,今後のプロジェクト発展において大きな成果を挙げた. (ii)環境要因を考慮したモデリング:従来の非同次ポアソン過程にモデルは単純なフォールト検出に関するデータのみに着目しているため,最終的なアウトプットである信頼度評価に対して大きな制限を与えている.そこで,フォールトデータと他のソフトウェアテスト要因(人員やテストスキル)を有機的に取り込んだ新しいソフトウェアモデルの検討を行った.実際,解析結果において,COX比例ハザードモデルと非同次ポアソン過程を融合したモデルが数学的に最も自然な形で環境要因を取り入れることができ,幾つかの実データを用いた実験においても高い精度の評価が行える可能性を示した.現在これらのモデルをJavaを用いたツールとして開発している.
|