2007 Fiscal Year Annual Research Report
阿蘇火山中岳火口付近の有史における火山災害と噴火様式の実態解明
Project/Area Number |
18510157
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
渡辺 一徳 Kumamoto University, 教育学部, 教授 (10040049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小畑 弘己 熊本大学, 文学部, 准教授 (80274679)
宮縁 育夫 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (30353874)
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Keywords | 阿蘇火山 / 火山災害 / 噴火様式 / 古坊中 / 山岳宗教 / 噴火史 |
Research Abstract |
1 本研究は、阿蘇火山中岳の有史の火山災害を明らかにするための「古坊中遺跡」の発掘調査の2年目である。本年度は4箇所で発掘調査を実施し、以下の成果を得た。(1)3地点において、昨年の発掘調査とほぼ同様な火山灰層が観察され、ほぼすべての地点で昨年の発掘による火山灰層との対比が可能であった。それらの中で15層の鍵層が認定され、これらのうち11層については、古坊中遺跡推定範囲のほぼ全城に分布することが推定された。これらの火山灰層の存在と対比から、埋没遺物や遺構の層準をほぼ正確にきめることができた。 (2)古坊中遺跡より上位(新しい)の火山灰は、さらに上下2層に大別され、下位ではマグマ水蒸気爆発や水蒸気爆発による爆発的な噴火による堆積物が顕署で、上位は火山灰を噴出する穏やかな灰噴火の特徴が認められた。また、遺跡出土層準より上位から、水蒸気爆発など爆発的な活動が目立った。 (3)一つの地点からは土塁や赤色化した旗礫が、他の一地点からは木炭や生活面、他の一地点からは溝をうめた部分から炭化物や青磁や土師器が検出された。 (4)遺物、遺構の出土層に関連した炭化物、木片および土壌から、およそ1400年代前半から後半にわたる炭素14年代が得られた。 (5)中岳の活動に関して、湯だまりからの火山灰噴出という新しい様式の噴水が認められた。また、中岳の噴火様式には湯だまりの水を含め多量の地下水の存在が重要であることが明らかになった。
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