2006 Fiscal Year Annual Research Report
ガウジのSIP(せん断分極)特性の定量化と岩盤の破壊予測への適用
Project/Area Number |
18510158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中川 康一 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 客員教授 (80047282)
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Keywords | せん断分極 / 自然電位 / 地すべり / ガウジ / 震源過程 / 地震予知 / 電気二重層 / 電磁気移譲 |
Research Abstract |
ガウジが単に摩擦を除去するだけの潤滑剤としてのみ挙動するのか,脆性カップリング剤として有効に働くかは震源過程における破壊ストーリーを考えるうえで極めて重要なポイントとなり,これらの研究によって全く新しい分野が開拓される可能性がある.ここでは特に重要なトピックスとして,ガウジがせん断を受けた時,電気的分極(SIP, Shear-Induced Polarization 新提案)をするという全く新しい知見に基づき,ガウジのような細粒物質の性質について調べた.分極現象の解明はガウジの材料科学的な性質を理解するうえで極めて重要であるばかりでなく,地震発生前後に現れる電磁気異常現象とも深く関連するため,早急な解明が必要とされている. 粘土などの細粒物質のSIPは工作用の油粘土では全く現れないことから,この現象には水を介した電気化学的な作用が働いているとみられる.結晶-水-電解質系の物理化学に関しては古くから多くの研究があり,結晶表面にある電気二重層のカイナティクスはこの現象のメカニズムを解釈するうえで大変有用であることがわかった.せん断変形によって,発現する電気分極の程度(SIP強度)は,形成された粒子間結合強度にほぼ比例することが明らかになった.粒子間結合強度は材料のマクロなスティフネスがその目安となる.発生する電位の大きさとせん断ひずみの大きさが比例することが確かめられていることから,SIP強度はその比によって定義できる.SIP強度は間隙水の電解質濃度,圧密荷重,圧密時間によって大きくなる. 室内におけるこのような現象が野外においても観測されるかどうかを自然電位の稠密観測によって検証を試みた.その結果,2つの地すべり地において,系統的な自然電位の変化を観測し,地すべりの変位と整合する結果を得た.
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Research Products
(1 results)