2007 Fiscal Year Annual Research Report
ガウジのSIP(せん断分極)特性の定量化と岩盤の破壊予測への適用
Project/Area Number |
18510158
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中川 康一 Osaka City University, 都市研究プラザ, 特別研究員 (80047282)
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Keywords | せん断分極 / 自然電位 / 地すべり / ガウジ / 震源過程 / 地震予知 / 電気二重層 / 電磁気異常 |
Research Abstract |
ガウジの供試体をせん断させた場合、変形に伴って電気分極を起こすという変わった性質があることは既に報告した。手の平サイズのガウジブロックに電極を配置して、せん断変形させて、発生する電圧変化を計測した結果、試料の部位によって、数10ミリボルトの電位が発生することが観測された。この現象をSIP(Shear-Induced Polarization)と呼ぶことを提案した。発生する電圧は、ひずみの大きさ、細粒分含有率、間隙水の電解質濃度、圧密の程度に大きく依存することが明らかとなっている。粘土のような水に飽和した細粒物質では透水性が非常に低いため、高速の変形は非排水状態に近くなることから、流動電位とは分けて考えるべきであろう。変形は粒子間の結合を損傷させるため、この結合部付近の間隙水に含まれる陽イオンは自由水に向かって移動するとみられる。その結果、分極現象が発生すると考えられる。しかし、非双極性の間隙流体を含むような工作用の油粘土などでは、このような現象はみられない。 地震の発生に伴う電磁気学的異常のメカニズムについては、まだ特定されるには至っていないが、ここでは、震源過程における破砕物質がせん断変形を被る時、上記したようなSIPが発現されるはずである。ガウジが震源域に存在する可能性は非常に高く、地震によるせん断破壊の後では、蓄積する垂直応力により、ガウジは充分に圧密を進行させる、この時の圧密様式は粘土の構造が形成されやすい、いわゆる一次元圧密に近いものとなる。引き続くテクトニック応力の増加に伴って、ガウジにひずみが集中することになり、これに応じたSIPが発生する可能性がある。これをモニターできれば震源過程の理解に大きな貢献をすることになる。
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Research Products
(3 results)