2008 Fiscal Year Annual Research Report
複雑ネットワーク解析に基づく社会基盤施設の相互依存性と被害連鎖モデルの開発
Project/Area Number |
18510161
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
能島 暢呂 Gifu University, 工学部, 教授 (20222200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉戸 真太 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (60115863)
久世 益充 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助教 (30397319)
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Keywords | 複雑ネットワーク / スケールフリー性 / 耐攻撃性 / 耐障害性 / ライフライン / 相互依存性 / 重要インフラ防護 / 地震災害 |
Research Abstract |
単独事故や,内陸活断層による都市直下型地震,中山間部の地震被害,海溝型巨大地震の広域被害等によって発生する単発的・局所的・散発的・破局的な被害パターンの出現を予測するには,「ハザード・脆弱性・施設量」の三要素を考慮する必要がある.その中から特に「脆弱性」に注目して,埋設管路網の地震時脆弱性を指数化した「脆弱性指数」を提案した「平成17年度水道統計(施設・業務編)」に基づいて,全国の上水道事業体の配水管の脆弱性指数を評価した結果,事業体規模を表す「施設量」と負相関の関係にあることがわかった.また平成6〜17年度における脆弱性指数の経年推移を分析し,阪神・淡路大震災以降の10年間で,脆弱性指数は全国平均で20〜25%程度低減されたことを明らかにした.「脆弱性指数」は,広域を対象としたマクロ的評価や,地震対策の進捗状況の定量的把握に有効である.平成17年度の「ガス事業年報」に基づいて全国212の一般ガス事業者のガス導管の敷設状況に関する分析も行った. 次に,局所的・散発的・破局的な同時被害発生による物理的被害波及や復旧支障の可能性を評価するため,近接した複数ライフラインの同時多発被害について考察した.2つのライフラインシステムにおける被害発生を一様・独立・ランダムと仮定し,微小距離の近傍(セグメント)における同時被害発生率が,2つのシステムの被害発生率とセグメント長の積で求められることを示した.さらに,全長が任意の個数のセグメントに分割されたシステムを対象として,セグメントごとの同時被害発生確率を定式化した.これらに基づいて,システム全体における同時被害発生数の推定式を提案した.地震動強度,地盤条件,施設の脆弱性などの要因により被害率が空間的に変動する現実的状況では,非定常ポアソン過程を導入して定常ポアソンモデルを拡張可能であることを示し,そのケーススタディを行った.
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