2006 Fiscal Year Annual Research Report
生殖系列におけるゲノムエピジェネティカル変動の分子機構と生物学的意義
Project/Area Number |
18510170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野崎 正美 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (30189394)
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Keywords | 生殖細胞 / マウス / 精子形成 / DNAメチル化 / ヒストン / プロタミン / エピジェネティクス |
Research Abstract |
(1)精子核内でメチル化されるゲノム領域が残存ヒストン(ヌクレオソーム)領域である可能性を、抗ヒストン抗体を用いたクロマチン免疫沈降法(ChIPアッセイ)を用いて検討した。精子核クロマチンは、大部分のヒストンがプロタミンへ置換しており、様々な刺激に対し強固な構造をとり、sonicationやDNaseに対し抵抗性を示す。一方、メチル化領域がヒストン-DNA構造であれば、DNase感受性が高いと考えられる。従って核内のクロマチンをmicrococcal nucleaseにて部分切断した後、抗ヒストン抗体を用いた免疫沈降を行った。免疫沈降されたクロマチンのDNAに対し、精子核内でメチル化されるTact1及びPgk2遺伝子、そして精子核内でメチル化されないOaz1遺伝子の様々な領域に対する特異的プライマーを用いたPCRを行ったところ、メチル化される領域周辺はヒストン結合が強く、メチル化されない領域周辺は非ヒストン領域である可能性が示された。 (2)精子核ゲノムの特定領域をメチル化する因子として新規DNAメチル基転移酵素であるDnmt3aとDnmt3bについて、検討を加えた。どちらか一方がメチル化に必須の場合、遺伝子ノックアウトでメチル化不全が観察されるはずである。通常のノックアウトでは胚性致死あるいは出生後早期に致死となるため、生殖細胞特異的コンディショナルノックアウトマウスの解析を行った。TNAP-CreあるいはPgk2-CreトランスジェニックマウスをそれぞれDnmt3b^<2lox/1lox>あるいはDnmt3a^<2lox/1lox>マウスと交配して得られたDnmt3b^<-/->及びDnmt3a^<-/->精子でTact1遺伝子DNAについてメチル化を調べたところいずれも正常にメチル化されていた。これらの結果はDnmt3a、Dnmt3bいずれもが相互補完的にメチル化を行うか、あるいは別の新規メチル化機構が働く可能性を示している。そこで、前者の可能性を調べるために、[Dnmt3a^<-/->;Dnmt3b^<+/->]と[Dnmt3a^<+/->;Dnmt3b^<-/->]精子について解析したところ、どちらも正常にメチル化された。この結果は未知のメチル化機構が存在する可能性を強く示唆している。
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