2007 Fiscal Year Annual Research Report
核内高次構造を介する転写制御機構解明に向けた人工染色体操作技術の活用
Project/Area Number |
18510174
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井上 敏昭 Tottori University, 医学部, 准教授 (80305573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 基伸 鳥取大学, 医学部, 助教 (00273904)
松田 賢一 京都府立医科大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40315932)
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Keywords | 人工染色体 / 核内高次構造 / 可視化 / 転写調節 / 染色体テリトリー / HoxB |
Research Abstract |
核の高次構造の体系的解析を進めるための新たな技術としてゲノムを自由に扱い生細胞内での挙動を可視化するゲノム操作技術を開発した。これはBACでのゲノム改変技術、さらにBACを搭載できるベクターである人工染色体の操作技術を利用する技術である。本研究では、HACに搭載したヒトHoxB遺伝子クラスターを例として以下の三点について明らかし、本技術が核内高次構造を介する転写制御機構解明に有用であることを示すことを目指した。1.核内高次構造を介した転写調節の可視化、2.その制御に必要なゲノム領域の同定、3.その写制御を行う候補タンパク質の同定と生細胞での動態観察。 初年度は目的とするHoxB遺伝子クラスターを含むBACを取得し人工染色体ベクターに搭載する上で必要なLoxP+選択マーカー遺伝子をタグするゲノム改変を試みたところ、この改変のための宿主大腸菌内ではHox遺伝子クラスターを含むBACは不安定でゲノムの再編成がおきてしまい、これを回避することは困難であった。そこで本年度(二年目)方針を変え、HoxB遺伝子クラスターのマップされるヒト当該染色体(17番染色体)をマウスES細胞に導入することにした。この方法を確立し、実際にこの染色体が移入されたマウスES細胞は多数取得でき、これらのクローンは神経分化誘導も可能であった。しかしどのクローンも肝心のHoxB遺伝子クラスター座の構造が異常であった。マウスA9細胞中に保持している導入元のHoxB遺伝子クラスターの構造は正常であったので、マウスES細胞特有の現象であると考えられるが、巨大な単位で繰り返し構造を持つ外来遺伝子は大腸菌内でもマウスES細胞内でも保持できなかったことになる。内在のものとの区別が付かなくなること、また細かな改変が難しいという欠点があるが、マウスES細胞中の内在性遺伝子について解析することが現時点では可能な方法である。
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