2006 Fiscal Year Annual Research Report
合成プローブを活用したテトロドトキシンの食物連鎖機構および生合成経路の解明
Project/Area Number |
18510182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西川 俊夫 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (90208158)
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Keywords | テトロドトキシン(2)(3)(5)(6) / 化学合成 / 同位体標識 / 食物連鎖 / 生合成 / Diels Alder反応 |
Research Abstract |
テトロドトキシンの生合成研究に必要不可欠な同位体標識されたテトロドトキシン類縁体を合成することが目的である。テトロドトキシンの生合成前駆体として最も可能性が高い5-deoxyテトロドトキシンと5,6,11-trideoxyテトロドトキシンを効率よくかつ確実に合成するために、以下の2方法による11-位水酸基の導入法を検討した。 従来当研究室で使われてきたトリクロロアセトアミドを持ったエノン中間体のエノラートとmCPBAによる11位の水酸基導入は収率が悪く実用的でなかった。一方、このエノンをDMF中炭酸カリウムと加熱するとビシクロ型のγ-ラクトンが得られることを見出した。このエノンの場合は、同様の方法による11位への水酸基導入が高収率で進行し、ラクタムの加水分解、脱炭酸等を経てアミノ基をBocで保護した中間体の合成に成功した。この方法の通算収率はよいが、11位へ水酸基を導入するためだけに6工程かかっており、更に効率のよい方法が望まれた。 そこで、Diels-Alder反応によって共通中間体のシクロヘキサン構造を構築する際に、あらかじめ11位水酸基が導入されたジエンを使う方針に切り替えた。親ジエンである3-bromolevoglucosenoneと水酸基が、11位へ導入されたイソプレノール誘導体を使ってDiels-Alder反応を検討した。この反応は室温でも進行するが、位置選択性を制御するためにLewis酸の添加が必要であった。続いて、Overman転位反応によって、11位に水酸基をもった重要中間体を合成した。なお、文献既知のイソプレノールの合成法は大量合成に適しなかったが、詳細な条件検討の結果、100gのスケールでの合成が可能になった。 以上の方法によって懸案だった11位水酸基を導入した中間体を数十グラム合成することができた。この中間体は、TTXのあらゆる類縁体の合成に利用できる「新共通中間体」と位置づけられる。今後は、この中間体から出発して当研究室で開発されたルートを利用して5-deoxyテトロドトキシンと5,6,11-trideoxyテトロドトキシンの標識体合成を行う予定である。
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Research Products
(4 results)