2006 Fiscal Year Annual Research Report
癌治療を目指したアポトーシス関連タンパクの光機能化と応用
Project/Area Number |
18510184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
遠藤 政幸 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教授 (70335389)
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Keywords | アポトーシス / DNA断片化因子 / カスパーゼ-3 / 光化学 / 非天然アミノ酸 / 胞外翻訳反応 / 癌治療 / 細胞導入 |
Research Abstract |
アポトーシス(プログラムされた細胞死)の誘導による癌細胞の除去を目的とし、最終段階で働くDNA分解酵素であるDNA断片化因子を光機能化し、その活性を光照射によって制御すること方法の確立を検討した。DNA断片化因子はCaspase activated DNAase(CAD)その阻害タンパク(ICAD)からなりアポトーシスシグナル伝達の上流にあるプロテアーゼcaspase-3によるICADの位置特異的な切断(117と224残基)によりCADが活性化される。このため、このICAD特異的な切断位置に光分解性の4,5-dimethoxy-2-nitrophenylglycine(DMNpg)をペプチド主鎖に導入し光化学反応によりICADの切断とCADの活性化を試みた。 第一に、天然型のヒト由来ICAD/CADの細胞外翻訳反応による発現と酵素活性の保持については報告がないため、その活性化方法について検討した。哺乳類細胞であるウサギの網状赤血球細胞抽出物を用いて、PCRで増幅したICADとCADのcDNAから細胞外転写翻訳反応で共発現を行うと、目的のICADとCADの発現が見られた。このICADとCADを共発現した複合体にcaspase-3を添加し、ICADの切断を行うと特異的な切断が見られ、プラスミドDNAと反応させるとDNAの分解が見られた。よって、この実験系で天然型のICAD/CAD複合体が合成でき、活性を保持させることが可能であることが明らかとなった。次に、ICADの117番目への位置特異的なDMNpg基の導入を4塩基コドンと細胞外翻訳反応によって行った。DMNpgは有機化学的手法で合成し、核酸2量体であるpdCpAと結合し、さらに4塩基アンチコドンをもつtRNA(-CA)にRNA ligaseによって結合し、目的とするDMNpg-tRNAを合成した。これを用いて、ICADの117番目を4塩基コドンCGGGに変異させたcDNAをPCRで増幅し、上記の細胞外転写翻訳反応で発現を行った。その結果、DMNpg-tRNAが存在しないときでは全長のICADが合成されないのに対して、DMNpg-tRNAを加えると、全長のICADの生成がみられた。このことから117番目にDMNpgが導入されたICADの合成が行われた。また、ICAD/CADの共発現系でも同様に、DMNpg-tRNA存在下で全長のICADが生成することから、Npg-ICAD/CAD複合体の合成が行えた。DMNpgモノマーへ光照射(366nm、0℃)を行うと速やかに、DMNpgの分解が見られることから、Npg-ICAD/CAD複合体への同条件での光照射によって、ICAD117位の切断とCADの活性化が行えるものと考えられる。
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Research Products
(5 results)