2007 Fiscal Year Annual Research Report
キノン縮合及び酸化還元不均化を鍵反応とする酸化型二次ポリフェノール生成機構の解析
Project/Area Number |
18510189
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田中 隆 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90171769)
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Keywords | 食品 / ポリフェノール / 紅茶 / 酸化 / カテキン |
Research Abstract |
紅茶に含まれるポリフェノールは茶葉のカテキンが酸化されて生成するが、その構造の多くは未だに分かっていない。本研究はその全体像を明らかにすることを目標としてカテキン酸化の分子機構を解析することを目的としている。紅茶ポリフェール生成の初期段階において、キノンとフェノールが結合して生成する不安定キノン二量体の形成が鍵反応であることが確認された。中でも主要な反応はカテキンB環同士の結合で起こる二量化であるが、この反応の高い立体選択性がC環の配置により決り、2、3-シス配置ではデヒドロテアシネンシン型の、2、3-トランス配置では主にプロエピテアフラガリン型のキノン中間体が生成することが分かった。これらはそれぞれ異なる分解反応によりテアシネンシンやエピテアフラガリンなどの紅茶ポリフェノールに変換される。また、紅茶ポリフェノールのかなりの部分を占める高分子ポリフェノールの生成ではB環とガロイル基の結合による分子の伸張が重要であると推定され、その反応の不安定中間体の存在を確認した。また、さまざまな条件化でのin vitroモデル酸化実験で新しいカテキン酸化生成物の構造が明らかになり、その結果から紅茶のマイナー成分の生成機構を推定した。紅茶主要色素テアフラビンの酸化機構の詳細も明らかになりつつあり、ベンゾトロポロン環の二量化が高分子ポリフェノール形成に関与していることが示唆された。一方、紅茶から分離した高分子ポリフェノールのリパーゼ阻害活性を確認し、分子量や部分構造についての情報を得た。今後、実際の紅茶とモデル酸化とのギャップを埋めるべく検討を行う予定である。
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Research Products
(15 results)