2007 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴリン脂質の挙動解明に向けた効果的なツール分子の開発とその利用
Project/Area Number |
18510195
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
勝村 成雄 Kwansei Gakuin University, 理工学部, 教授 (70047364)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / 生体内挙動解明 / オレフィンクロスメタセシス法 / 効果的なツール分子 / スフィンゴミエリン / ラフトドメイン形成 / スフィンゴシン1-リン酸 / 蛍光標識基 |
Research Abstract |
スフィンゴ脂質の中でもスフィンゴミエリン(SM)は、細胞膜における情報伝達ドメイン(ラフトドメイン)の主成分であると共に、その代謝物は様々な生体内情報伝達物質として作用し注目を集めている。本研究は、スフィンゴ脂質の挙動解析に効果的なツール分子の創製、それらの効率よい合成法の確立、十分な量の供給を目的としている。昨年度は、多様なスフィンゴ脂質および類縁体合成が可能な統一的合成法を確立し、主に天然のスフィンゴ脂質の合成を達成した。本年度はこの確立した合成法を用いて、(1)スフィンゴシン1-リン酸(S1-P)の蛍光標識化イオウ類縁体の合成を実現した。この類縁体は、S1-P同様に認識されたがCH_2類縁体とは異なりリン酸化酵素を活性化させずS1-P代謝酵素の阻害剤としての利用が期待された。次いで、(2)確立した方法により合成したセラミドに対し、ホスホコリン部導入によるSMの合成法を検討した結果、保護基の利用によりスケールアップ可能な改良合成法を確立することができた。さらに次の段階として、(3)やはり確立した合成法を用い、SMにおいて主骨格とボスホコリン部をつなぐ酸素原子をCH_2,S,NH,NMeに置換した類縁体の合成を、各々セリンおよびメチオニンを原料として達成することができた。そこで、これらの類縁体に対し、まずSM代謝酵素に対する阻害活性を検討したが、顕著な阻害作用は認められなかった。その一方、これらを生命物理分野の共同研究者に提供しSMと比較したところ、脂質二重層膜における物性変化としてゲル層から液晶相への相転位温度に明らかな差異が認められた。すなわち、分子内水素結合が弱まった結果としてホスホコリン頭部の配向性が変化したと推定された。これらの結果は、SMの上記酸素原子のラフトドメイン形成における重要性を示唆するものと推定される。
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Research Products
(21 results)