Research Abstract |
昨年度に続きプラコートンCおよびFの全合成を試みた。 エバンスのキラル補助剤を出発物質として,不斉アルキル化,補助基除去により,カルボン酸とし,これをジメチルアミドに変換した後,ヨードラクトン化を行い,ジアステレオ選択的に目的の立体化学を有するラクトンを得た。これを還元してジオールに導き,トリチル基で一級アルコールを保護した後,数工程を経て,カルベン発生の前駆体であるケトンを得た,このケトンとリチオトリメチルシリルジアゾメタンを反応させ,ジヒドロフランとし,アリル酸化,DIBAL還元により,ラクトールを得た。これに対してPh_3PCHCO_2Bnを反応させるとWittig反応とMichael反応がおこり,ジアステレオ混合物として飽和エステルを与えた。これらジアステレオマーの分離は可能で,不要なジアステレオマーはDBU処理するとエビ化する。 エステルを加水分解後,ヨードランクトン化を行い,水素化トリブチルスズで処理して,ヨウ素を除くと同時にトリチルオキシ基をアルデヒドに酸化した。これによりコア部分の合成が完成した。1炭素多いアルデヒドとし,Wittig反応によりα,β不飽和エステルとした。DIBAL還元によりラクトールアルコールとした後,ラクトールを保護,1級アルコールを酸化し,不斉エチル化を行い2級アルコールを得た。オルトアセテートを用いるクライゼン反応を行い,さらにアルコキシカルボニルメチル基をエチル基に還元し,コア部分もラクトンに戻して最終目的物まで導いた。文献記載のNMRと比較し,天然物は今回合成した化合物とは異なる相対配置であると結論づけた。今後,同様の経路で異なるジアステレオマーを合成すれば,天然物と同一の立体化学を有する化合物が得られるはずである。
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