2006 Fiscal Year Annual Research Report
ムギネ酸によるイネ科植物の3価鉄イオン取り込みの分子機構
Project/Area Number |
18510200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Suntory Institute for Bioorganic Research |
Principal Investigator |
村田 佳子 (財)サントリー生物有機科学研究所, 研究員 (60256047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩下 孝 (財)サントリー生物有機科学研究所, 研究員 (00150144)
難波 康祐 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (50414123)
馬 建鋒 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (80260389)
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Keywords | ムギネ酸 / 鉄 / オオムギ / トランスポーター / アルカリ土壌 / ファイトシデロフォアー |
Research Abstract |
オオムギのESTデータベースからトウモロコシのムギネ酸鉄錯体トランスポーターZmYS1のホモロジー検索を行い、そのEST内にプライマーを設置して5',3'RACEの手法により、HvYS1を同定した。HvYS1の全長cDNAは2430bpであり、予想されるアミノ酸数は678個で、ZmYS1のアミノ酸配列と比較するとホモロジーが72.7%と高く、特に膜貫通領域では高い相同性を示した。N末領域とHvYS1の5番目と6番目の膜貫通間のアミノ酸の相同性が低く、この領域が二つのトランスポーターの基質特異性の違いに関与していることが示唆された。 HvYS1遺伝子の局在をreal time RT-PCRで調べた結果、オオムギの根に主に発現しており、鉄欠乏状態にするとmRNAが約50倍増加していた。また、鉄欠乏状態のオオムギの根での局在を調べるためにin situ hybridizationを行い、根の表面にある表皮細胞にHvYS1 mRNAが強く発現していた。このHvYS1タンパクの局在を調べるために、抗体を用いた免疫組織染色を行い、鉄欠乏状態において、オオムギの根の表皮細胞の細胞膜に強く発現していることが明らかになった。以上のことから、HvYS1は土壌から直接ムギネ酸鉄錯体の取り込みに関与しているトランスポーターであることが示唆された。 HvYS1トランスポーターの基質特異性について、fet3fet4ダブルミュータントの鉄吸収欠損酵母にHvYS1,ZmYS1,vectorのみをそれぞれ発現させ、これらのトランスポーターが相補して酵母が生育するかどうかを観察し、検討した。ZmYS1を発現させた酵母が培地にムギネ酸3価鉄錯体、ニコチアナミン2価鉄錯体共に添加した際に相補したのに対し、HvYS1はムギネ酸3価鉄錯体添加のみ相補した。アフリカツメガエルの卵母細胞にこのトランスポーターを発現させて、基質特異性を調べた結果、ムギネ酸3価鉄錯体の活性と比べると他の金属ムギネ酸錯体やニコチアナミン2価鉄錯体は非常に低い活性を示した。このことから、HvYS1はムギネ酸3価鉄錯体特異的に輸送するトランスポーターであることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)