Research Abstract |
今年度は,以下の3項目についての成果を纏める事が出来た. 1.病原性Aspergillusの分類学的研究 真菌センターにAspergillus fumigatusとして保存されている株について,β-tubulin, hydrophobin, calmodulin, actin遺伝子による系統解析を実施した.形態学的な手法により同定されたこれらの菌株の中にA. lentulus, A. viridinutansとして再同定された株が含まれていた.また,A. lentulus, A. viridinutansは薬剤感受性が低い事で臨床上問題となっており,迅速に識別できるPCR法,LAMP法を開発した. 一方,Emericella属菌については,β-tubulin, hydrophobin, aflR遺伝子での系統解析を行った後,分子系統と子のう胞子の微細構造,最高生育温度との相関性を検討したところ一部において相関が確認された.この過程で新種を1種見いだした. 2.耐熱性菌の多相分類と検出法の開発 加工食品の事故原因菌として問題となる耐熱性菌Byssochlamys, Talaromyces, Hamigera, Neosartoryaで系統解析を行い,その結果を基に各菌属に特異的なプライマーを設計し,迅速同定法を確立した. 3.AIDS患者由来のCandida albicansの遺伝子型 中国新彊ウイグル自治区に在住のAIDS患者より分離したC. albicansについて遺伝子型を決定し,他の地域のデータと比較した.分離株のうち7株のラルコナゾール耐性株が見いだされたが,ALTS-PCRとμTGGE(温度勾配電気泳動)の手法を組み合わせる事により,互いに別系統の株である事が示された.
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