2009 Fiscal Year Annual Research Report
陸上脊椎動物と線虫の宿主-寄生体関係に関する保全医学的な試み
Project/Area Number |
18510205
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
浅川 満彦 Rakuno Gakuen University, 獣医学部, 教授 (30184138)
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Keywords | 外来生鳥類 / 飼育爬虫類 / Pseudaspidodera pavonis / Kalicephalus属 / 致死性線虫症 / インドクジャク / 天然記念物シロヘビ / ワニトカゲ |
Research Abstract |
今年度は外来生鳥類および飼育爬虫類について検討をした。琉球列島小浜島産インドクジャクから線虫Pseudaspidodera pavonisが検出されたが、この種はクジャク類特有な種でこのクジャクに伴って日本に侵入した外来蠕虫であった。この線虫に近縁な鶏盲腸虫は、キジ目家禽の腸壁に侵入して結節病変を形成し致死性腸炎の原因となる。P.pavonisが類似疾患を在来鳥類にも惹起するかどうかは不明だが、系統性が近いことは病原性が類似することも予想される。また、鶏盲腸虫は原虫Histomonas meleagridisを体内に寄生させ(超寄生現象)、家禽にヒストモナス症を惹起するが、このような性質がP.pavonisにもあるかどうか今後の検討に委ねたい。密輸・摘発されたワニトカゲで脳に線虫幼虫が刺入した致死性線虫症を仙台市八木山動物公園との共同で行った。さらに、山口県岩国で飼育される天然記念物シロヘビの死亡例について調査し、Diaphanocephaloidea上科線虫類Kalicephalus属の濃厚感染が頻発したことが明らかになった。この線虫は発達した口腔を有し、鉤虫類(Ancylostomatoidea上科)に類似するが、口腔側面の形態が非常に複雑であり、この特徴から別の上科に配されている。国内では野生ヘビ類にごく普通に見られるが、動物園を含め国内の飼育ヘビ類で見つかったとされる正式な記録はない。寄生部位の粘膜(この種では小腸)への物理的な損傷は著しく、飼育下ではアメーバや細菌などの侵入門戸になる可能性が示唆された。
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