2007 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴ礁復活の鍵をにぎるブダイ科魚類の摂餌・繁殖生態の解明
Project/Area Number |
18510207
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
桑村 哲生 Chukyo University, 教養部, 教授 (00139974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 一彦 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (50153838)
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Keywords | サンゴ礁保全 / ブダイ科魚類 / 藻類食 / 摂餌場所 / 繁殖行動生態 / 産卵時刻 / 西表島 / ニザダイ科魚類 |
Research Abstract |
サンゴに対する魚類による食害と、サンゴの復活に影響を及ぼすといわれている藻食性ブダイ類・ニザダイ類の摂餌・繁殖行動生態について、沖縄県西表島及び瀬底島において野外調査を実施した。 1)サンゴに対する魚類の食害 塊状ハマサンゴ類についた(ブダイ類がかじったと思われる)歯形の数と成長量の関係を瀬底島で調べたところ、歯形はハマサンゴの成長にほとんど影響を及ぼさないことがわかった。無人ビデオ撮影を試みたが、かじっている現場は確認できなかった。一方、西表島においてケージ囲い実験を実施する過程で、実験用の枝状ミドリイシ類の小片が魚類に捕食されることが分かった。そこで、自然のミドリイシ属の小群体(<10cm)を対象として、魚類の捕食によると思われる傷の調査を行った結果、捕食を受ける種と受けない種が存在し、捕食を受けた小群体は成長が低下することが明らかとなった。捕食する魚種はまだ特定できていないが、サンゴの移植に際しては、これらの食害を防ぐ工夫が必要であることが示唆された。 2)ブダイ類とニザダイ類の繁殖行動と摂餌生態 西表島では礁縁で同じ産卵場所を利用するブダイ類の産卵時刻が種間で異なり、産卵場所近くで摂餌する種は満潮後に産卵し、礁地内の岸近くまで(>500m)摂餌移動する種では潮位や月齢に関わらず早朝に産卵していた。後者は移動回数を節約して摂餌時間を確保するための適応であると考えられた。一方、ブダイ類と同じ産卵場所を利用するニザダイ類では、早朝よりも夕方に産卵する傾向があり、両者の摂餌方法の違い(つまみ食い/基質ごと)によると考えられた。MPAを設定する際には、サンゴ自体の生態的特性のみならず、これら藻食性魚類の産卵場所と摂餌場所の両方を含む範囲になるよう考慮する必要がある。
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Research Products
(4 results)