2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本産コイ(コイ目コイ科)のルーツ解明と保全へのシナリオ
Project/Area Number |
18510209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
瀬能 宏 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任研究員 (80202141)
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Keywords | 分子系統 / コイ / 保全 / 外来種 |
Research Abstract |
放流が盛んに行われている日本の自然水域にはどのようなコイの系統が生息しているのかを明らかにする目的で、宮城県から高知県にかけての11地点(伊豆沼、松島町、北浦、霞ヶ浦、長良川、三方湖、琵琶湖、吉井川、児島湖、小田川、四万十川)から得られた132個体について、ミトコンドリアDNAの調節領域の塩基配列を調べ、大陸産の個体のデータとともに系統解析を行った。その結果、24個のハプロタイプが得られ、AからFまでの6系統に分類された。このうち、A系統は17ハプロタイプから構成され、きわめて多様性が高いと同時に大陸産のハプロタイプから区別されるため、これが在来系統とみなされた。一方、BからFまでの5系統は遺伝的多様性がきわめて低く、いずれも単一もしくは2つのハプロタイプから構成されていた。また、それぞれが大陸産のハプロタイプに類似していたことから、すべて大陸由来の移入系統であると考えられた。なお、ハプロタイプの出現頻度は、在来系統のAが9地点から出現し、琵琶湖や岡山県の3水域に多く見られた。これ以外では、どの地点でもほぼB、C、Eの3つに限られ、地域によって高頻度のハプロタイプは異なっていた。移殖放流が特に盛んな霞ヶ浦では4つの移入系統が出現した。5つの移入系統を明治期以降の記録と照合すると、中国、台湾、ドイツ、オーストリア、インドネシアの系統もしくは品種に相当するとが判明した。以上の結果については2006年度日本魚類学会年会においてポスター発表を行った。
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Research Products
(4 results)