2008 Fiscal Year Annual Research Report
地方史から見る近現代中央アジア : 地域構造の再検討
Project/Area Number |
18510211
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宇山 智彦 Hokkaido University, スラブ研究センター, 教授 (40281852)
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Keywords | 中央アジア / 地方史 / 近現代史 |
Research Abstract |
資料収集・分析 : 当初予定していたロシアでの現地調査は諸般の事情により実現しなかったが、別財源で行ったアルマトゥ(カザフスタン)での調査により、ロシア帝政期にヴォルガ・ウラル地域で出版されたカザフ語文献はかなり集めることができた。ロシアの地方都市(オムスク、バルナウルなど)での近年の中央アジア研究の状況や出版物については、現地の研究者とのメールのやりとりや学会参加時の聞き取りにより情報を集めた。また、近年欧米で進んでいるウズベキスタンの地方史研究に関する文献を収集した。 成果発表 : 2007年度に行った西カザフスタン調査の成果に基づき、西カザフスタンの歴史が多民族的・多文化的なものでありながら、帝政期のロシア人による研究においても、ソ連時代以降のカザフ人による研究においても、カザフ民族史の枠に押し込められがちであったこと、近年現地の研究者がこの枠を超えてロシアやタタール、バシキールとのつながりを重視する研究を進めていることを指摘する報告を米国の学会で行った。また、厳密な意味での中央アジアに関することではないが、2008年夏のグルジア紛争について論評する機会が多くあり、そこでも、地方の細かな状況を踏まえたうえで国際政治を論じるという、本研究で培った視点を生かすことができた。そして3年間の研究成果に基づき、タジキスタン、カザフスタン、カフカスの地方が文化交流や紛争において果たしてきた独自の役割を論じる報告を、インドの学会で行った。
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Research Products
(10 results)