2007 Fiscal Year Annual Research Report
戦争記憶の表象モデル構築に関する研究:戦争博物館展示の政治学的分析
Project/Area Number |
18510213
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
溝上 智恵子 University of Tsukuba, 大学院・図書館情報メディア研究科, 教授 (40283030)
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Keywords | 政治学 / 教育学 / 国民統合 / 博物館 |
Research Abstract |
平成18年度に引き続き、わが国における戦争博物館関連の資料を網羅的に収集し、研究動向や戦争展示に関する変遷を追った。さらに日本国内において、戦争をテーマとした博物館を訪問調査(平成18年度は靖国神社遊就館)し、その設立の経緯を当時の社会的政治的背景をもとに検討した。 海外調査としては、オーストラリアの戦争記念館(キャンバラ市)とニュージーランドのオークランド戦争博物館の歴史とコレクションや展示の変遷について、詳細な調査を行った。前者は国立の戦争博物館であるのに対し、後者は市立の戦争博物館であり、設置者による違いも展示に反映されてはいるが、ともに第1次世界大戦参戦を契機に設立された博物館である。しかしながら植民地戦争や第2次世界大戦の表象をめぐって両者には違いがあることを明らかにした。例えば、オーストラリアは依然として第1次世界大戦後の戦争に関する展示であり、植民地戦争はいっさい言及がないが、オークランドではマリオとの戦いについても常設展示されている。 一方、アメリカ合衆国については、第2次世界大戦時にアメリカ国内で唯一強制収容所体験を経験している日系人を対象にして設置された全米日系人博物館(カリフォルニア州ロスアンジェルス市)と、同じく第2次世界大戦時に日本軍による真珠湾攻撃を記念して設置されたアリゾナ記念館(ハワイ州ホノルル市)の設立経緯等について詳細な分析を行った。 また、平成19年9月に開催された日本カナダ学会において、シンポジウム「記憶のかたち」を企画立案し、「カナダの史跡指定にみる歴史記憶の再構築」と題する発表を行った。
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Research Products
(1 results)