2007 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀における「移民大国」アイルランドと北米大陸の相互関係についての研究
Project/Area Number |
18510219
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 亨 Aoyama Gakuin University, 経営学部, 教授 (40245337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 良二 東海大学, 外国語教育センター, 教授 (40224159)
稲垣 伸一 実践女子大学, 文学部, 准教授 (00269599)
佐藤 郁 東洋大学, 国際地域学部, 准教授 (80239483)
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Keywords | 移民 / アイルランド島 / 北米大陸 / 19世紀 / 宗教 |
Research Abstract |
まずは研究者それぞれの成果を列記する。佐藤亨は2007年8月、ケベックとニューヨークに出張し、アイルランド移民、特に北部アルスター地方からの移民について調査した。同年11Aは日本アイルランド協会大会、テーマ発表「アイルランド研究におけるソングとバラッドの可能性をめぐって」において、有名なアメリカ民謡で、"sea shanty"(水夫の歌)の一つ「シェナンドア」を取り上げ、歌の成立経緯を1840年代アメリカ合衆国ヴァージニア州の状況にたどり、歌の成立におけるアルスター・スコッツ(17世紀にスコットランドからアルスターに移民し、その後1740年代に大挙して北米大陸に移民)の関わりを指摘した。奥田良二は2007年8月にアイルランド共和国、コーク大学とコーヴ・ヘリテージ・センターにてアイルランド南部から北米大陸への移民史を調査した。特にコーヴでは移民船の他、当時の社会状況を詳細に調査し、また、大英図書館とロンドン大学図書館でアイルランド移民に関する文献・資料・統計を収集した。稲垣伸一は19世紀アメリカ合衆国におけるアイルランド移民受容を研究した(世紀前半は信仰復興運動、世紀後半は禁酒運動の視点から)。特に1880-90年代のプロテスタント系主導の禁酒運動では「酒好き」とステレオタイプ化され、拝外主義的視線にさらされたアイルランド系(カトリック)はアメリカ社会への同化か、エスニック・アイデンティティーの保持か、というジレンマに置かれつつ生き方を模索した。その経緯をカトリック聖職者の説教や文学作品から考察した。佐藤郁は2007年8月、ケベックに出張し、大飢饉時に大量のアイルランド移民を受け入れたグローセ島を視察した。本出張で得た貴重な資料をもとに大飢饉時の移民状況、とくに子供たちの状況に焦点を絞り考察した。以上が各成果であるが、われわれは各研究を進めながら、研究の進捗状況と出張先や文献から情報を、会合や電子メールを通して交換した。成果刊行物については、今後、出版されるに応じ、合評会形式の会合を持つ予定である。
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Research Products
(5 results)