2009 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀英国の文化変容にともなう対外パブリシティ戦略の変遷とその成果
Project/Area Number |
18510224
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡辺 愛子 Waseda University, 文学学術院, 准教授 (10345077)
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Keywords | ヨーロッパ / 西欧史 / 外交史・国際関係史 / 文化交流論 |
Research Abstract |
昨年度は個人的な事情から一年間研究を中断せざるをえなかったが、研究を再開した本年度(つまり本研究課題の3年目にあたる)は、イギリスと「欧州共同体(EC)・欧州連合(EU)を中心とするヨーロッパ大陸賭国との文化的協調」についての研究を中心に行った。とくに、2009年11月に開催された国際政治学会の年次大会において、国際交流基金研究員・譲原瑞枝氏の報告「EU統合と文化外交~国際文化交流機関の役割~」のコメンテーターを引き受ける機会を得、20世紀の対外パブリシティ戦略の変遷を背景に展開される現在のヨーロッパ文化外交について、かなり包括的な研究および調査をすることができた。焦点は、国際関係における文化交流の重要性が高まるなか、各国の国際交流機関の役割がグローバリゼーションや地域統合が進む現在の文脈においてどう変貌してきたのか、とくにEUが促進する「EUNIC」という新しい文化ネットワークの現況を考察することであったため、夏の海外出張では、イギリスにおいてブリティッシュ・カウンシルとEUNICとの関係を検分するだけでなく、EU本部のあるブリュッセルへも赴き、EUNICブリュッセルやブリュッセルにおけるブリティッシュ・カウンシル事業所のEUNICに関する活動について詳細なヒアリング調査を行った。また、参考事例として日本におけるEUNICの活動を現在支援しているドイツの文化交流機関ゲーテ・インスティテュートでも話を間いた。調査から、ブリティッシュ・カウンシルのヨーロッパへの文化介入度は、戦後、さまざまな国際政治情勢に左右されてはきたものの、着実に深化する地域統合の波(とくに90年代におけるEUへの移行)はもはや避けて通れないものとなったばかりでなく、むしろヨーロッパとのつながりを「強み」に、他地域との文化関係を向上させていくようになった経緯を知ることができた。
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