2010 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀英国の文化変容にともなう対外パブリシティ戦略の変遷とその成果
Project/Area Number |
18510224
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡辺 愛子 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (10345077)
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Keywords | ヨーロッパ / 西欧史 / 外交史・国際関係史 / 文化交流論 |
Research Abstract |
本研究課題最終年度である平成22年度は、前半の数か月間育児休業期間であったこと、さらにさかのぼって平成20年度の産児・育児休職による研究停止期間の影響もあり、当初予定していた(5)の参考事例(日英交流)の研究を将来の課題とし、順延されていた(4)のUNESCO研究を行うこととした。国連の教育科学文化機関であるUNESCOは、教育や、科学、文化の発展と推進を目的として1946年11月に設立されたが、各国政府による文化交流の変遷を見ていくと、このUNESCO発足と同時期に「平和希求」への気運が高まっており、英国もその例外ではなかった。ブリティッシュ・カウンシルは、戦前に政府(とくに外務省)に政治利用された経緯を重く受け止め、この時期とくに政治に影響されない文化活動の在り方を模索している。そこで今年度は、育児休職から復帰後の秋季に、まずこのUNESCOとカウンシルの文化協力の経緯について二次資料をもとに概要をまとめ、冬季には英国公文書館において一次史料収集を行った。さらにフランス・パリのUNESCO本部を訪問し、関連資料を収集した。ここでは当初ヒアリング調査を目標としていたが、年末年始にあたったことからアポイント調整がうまくいかずかなわなかったことが心残りである。現在もカウンシルがUNESCOの文化活動にも積極的に介入していった発端や内実について分析・考察中である。なお、本年度はこれまでの研究課題総括の一端として、7月に青山学院大学国際交流共同研究センターにおいて、イギリス国際文化交流理念の形成について20世紀を概観した報告を行い、2月にその通史中の創成期を詳述した雑誌論文を同センターの紀要に寄稿した。さらに慶応義塾大学出版会よりこの6月に刊行予定の『愛と戦いのイギリス文化史~1951-2000年~』(仮題)にも本研究課題に関連した内容で一章分担執筆している。
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Research Products
(2 results)