2007 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおけるDV被害女性の生活再建支援政策に関する比較研究
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18510229
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
戒能 民江 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (60233649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯澤 直美 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (50308102)
庄司 洋子 立教大学, 21世紀社会デザイン研究科, 教授 (70139351)
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Keywords | ドメスティック・バイオレンス / 女性に対する暴力 / 法律学 / 社会政策学 / 母子福祉研究 / 国際情報交換 / 韓国:台湾 |
Research Abstract |
本年度は外国調査(台湾)および国内調査(福島)の実施、国際シンポの開催および報告書の作成をおこなった。台湾調査(2007年8月12日〜19日)では、台湾におけるDV被害者の生活再建支援政策を中心に、内政部家庭暴力防止委員会、台北県および台中県家庭暴力/性暴力防止センター、民間団体、研究者等へのインタビュー調査および資料収集をおこなった。今回の台湾調査では、全国的な状況を把握するために地方都市を調査対象とし、地域での現状、地域独自の取組みや民間団体との連携に着目して調査をおこない、より現実に即した現状と課題の把握に努めた。台中市では行政、司法、民間団体、研究者が一堂に会してシンポジウムを開催して日台の交流を図った。2007年台湾DV法改正で注目されるのは、法の対象範囲に同性愛カップルを含めたこと、中央政府に「DV基金」を設置して財政的裏づけを図ったことおよび「地方裁判所DV事件サービスセンター」設置である。司法におけるソーシャルワークの位置づけと同時に、裁判官の意識改革にも効果を発揮している。また、中国大陸および東南アジアからの結婚移民の急増に伴うDVの増加が新しい知見として確認できた。韓国でも同様の傾向がみられ、グローバル化に伴う結婚契約を通じたケア労働の移転の新局面と分析できる。韓国・台湾・日本の研究者・実務家による国際シンポ(2007年11月24日)では、家族主義と人権理念との対抗関係や被害者中心主義のDV法のあり方について議論を深めた。国内調査は福島県および郡山市で実施した(2008年2月13日〜14日)。福島県DVセンターの長期支援(ステップハウス機能)やきめ細かな支援体制の一方で、不十分な精神的ケアや求職難など、DV政策と母子家庭福祉政策の有機的連関が図られていない現状が浮き彫りになった。DV政策のセカンドステップを迎えた現在、総合的な自立支援政策の具体化が急務である。
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Research Products
(8 results)