2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18510235
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
西村 祐子 Komazawa University, 総合教育研究部, 教授 (80276451)
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Keywords | 南インド / 高学歴女性 / クラス / カースト / 家父長制 / 婚姻選択 / 面談調査 / 求婚広告 |
Research Abstract |
当該年度はインドの求婚広告の分析により、女性側がどのような条件を望ましい配偶者用件として挙げておりそれがどの程度クラス性と連動しているかを研究した。 カーストよりもクラス性に固執した婚姻選択をする場合、若者世代が配偶者選択に深く関与し、カースト内の長老や祖父母などの父権にかかわる人々の介入は弱まっていく。カースト内を流れる資本の一部、カースト内でのステイタス誇示の道具としてのダウリが消滅してゆくものの、それは一様に起こりえる現象ではない。カースト志向をとるか、クラス志向をとるかは集団によって、あるいは家族によっても異なっている。グローバル化によって女性の職場進出が進み、経済的自立性をもった女性が増えることで恋愛婚は増えつつあるものの、村落部におけるカースト内婚とダウリ授受の慣習への波及効果をもたらすまでにはかなりの時間がかかると思われる。また、都市部のミドルクラスの間でダウリの消滅が起こっているとはいえ、それはクラス性を逆に強調するような方向に向かっているともいえる。具体的なモノの代わりに象徴資本としての高度な教育やそれに支えられた家庭環境、人脈などの複雑なネットワークが配偶者選択において吟味されるからである。 他方、ITセクターや弁護士・医師などの専門職セクターの女性達にみられるように、配偶者選択や個人のライフスタイルの選定においてピアグループの影響力が強まっていることが確認された。家庭内の父権に対する忠誠には揺らぎがみられるものの、それゆえの葛藤も女性の心理のなかで生じており、決して一様ではない。従来型の見合い婚から恋愛婚へと移り変わりつつあるなかで婚姻選択の変貌は、逆に職場のピアグループの重要性をも際立たせている。
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Research Products
(3 results)