2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18510240
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
青野 篤子 Fukuyama University, 人間文化学部, 教授 (70202489)
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Keywords | ジェンダー / 保育 |
Research Abstract |
平成20年度は、ジェンダー・フリー保育の課題の一つである、男性保育者の参入に関する研究を進めることと、研究助成期間の最終年度であることから、研究成果をまとめ、学会のみならず、一般図書や一般向けの媒体により成果を広く公表することを目標としていた。 第1の目標である男性保育者の研究は、男性保育者の職業的アイデンティティと保育に対する考え方についてインタビューを行い、グラウンデッド・セオリーを用いて構造化し、ジェンダーの視点から考察を加えるという手順で行った。その結果、伝統的な女性の職域(職種)でのマイノリティとしての立場と、男性ジェンダー役割との葛藤のなかから、専門的職業人としてのアイデンティティが生まれる様をとらえることができた。これは女性保育者を含めた保育士という職業、保育の内容に新しい視点を提供するものであると考えられた。 第2の目標である研究成果の公表に関しては、学会発表と関連書籍への寄稿という形で行った。前者は、平成19年度中に行った女児の男性的スポーツ(サッカー)への参加を促すプログラムの効果について、日本社会心理学会において発表したものである。スポーツは子どもの成長とともに男女差が現れやすい領域であるが、保育や教育において、女児が男性的スポーツにも積極的に関わることができるよう周りが働きかけを行うことの有効性が示された。また、後者は、「日本の男性の心理学」において幼児教育におけるジェンダーの問題として、本研究の成果をまとめて紹介した。さらに、保育者や保護者への研究のフィードバックとして、研究協力園に「研究室だより」を定期的に発行し、研究の成果をわかりやすく紹介するという試みを行った。
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