2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
直江 清隆 東北大学, 大学院文学研究科, 助教授 (30312169)
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Keywords | 人工物 / 副次的結果 / 設計者の誤謬 |
Research Abstract |
18年度には、設計論の基礎構造の研究と次年度に向けたいくつかの予備作業行った。 まず第一に、設計論をめぐる技術哲学の研究状況を検討した。その成果の一部は「機能と意図の問題圏に寄せて」ほかの論文として発表された。この中では、人工物の「機能」をめぐる現在の二面性理論に対する批判的検討や、「分散された行為」に関するアクターネットワーク理論との対決などを行っている。これと平行して、組織の倫理学についても研究し、集団責任をめぐる倫理学的論争や、科学技術の研究倫理と組織の倫理の関係等を検討した。この成果は、『応用倫理学事典』(丸善、印刷中)の中項目にも生かされている。 また、研究交流としては、研究協力者として松川俊夫氏(山形短期大学助教授)を招いて講演会を行い、情報倫理と技術の哲学の接点について検討を行った。海外との研究交流としては、来日中のオランダの科学哲学者ハンス・ラダー氏らと研究打ち合わせを行い、科学哲学と技術哲学の関係、設計論の位置づけなどについて検討し、次年度の課題確認とした。 さらに、ステイクホールダーの利害対立の問題についての具体的な事例として、白神山地の砂防ダムのあり方を取り上げ、人工物の設計をめぐる政治と環境倫理との関わりの考察を目指した。本年度はその予備調査として、聞き取り調査を行った。 以上の作業およびその検討を通し、設計におけるヒューマンな関わりの意義、人工物が媒介する規範性、設計者・関係者が行うダイアログの意味を、哲学・倫理学内部から、あるいは工学・情報論・環境論の文脈とのつながりから解明使用と試みた。
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Research Products
(2 results)