2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桑原 直己 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 助教授 (20178156)
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Keywords | 徳倫理 / 修道会 / 道徳教育 / 倫理教育 / トマス・アクィナス / カトリック学校 / 心のノート / 愛 |
Research Abstract |
本研究は、15〜17年度までの研究「非主我的愛の成立基盤としての修道院霊性に関する研究」を発展的に継続するものである。本年度は前回の研究成果の延長として、徳倫理の歴史におけるトマス・アクィナス倫理学の意義(トマス・アクィナスと『ニコマコス倫理学』-徳倫理の継承およびその変容-)、東西キリスト教の霊性パラダイムとトマス的な愛の倫理との関係(トマス・アクィナスと東西キリスト教のパラダイム)、およびトマスによる修道制についての意義づけ(トマス・アクィナスにおける「修道生活」と「神愛の完全性」)について論文をまとめた。今回の科研費における研究テーマは教育・学問研究を目的とする近代の活動修道会であるが、トマス自身もその一員であった「托鉢修道会」は修道制の歴史において、従来のベネディクト会系の修道会のスタイルから、そうした近代的な意味での活動修道会の方向に向かう修道パラダイムの変換をなしたものであった、との認識のもとに、托鉢修道会をもたらした11〜12世紀の宗教的・社会的状況の意義を解明し(「使徒的生活」を求めて-11・12世紀の隠修士運動)新課題への橋渡しとした。新課題に直接もとづく活動としては、まず日本倫理学会において開催した3回目のワークショップと連動して筑波大学大学院教育研究科の大学院生と共に「心のノート」についての賛否両論の言説を批判的に検討し、また、同研究科の大学院生がGPにもとついて附属坂戸高等学校においてコールバーグの道徳性発達理論にもとついて実施した「倫理」の実験授業を指導・参観するなど、倫理・道徳教育そのものについてのアクチュアルな研究を展開した。さらには、カトリック教育学会等において、修道会の経営になる我が国におけるカトリック学校における宗教・倫理教育が直面する問題点についての最新の情報を蒐集した。それらの活動から得られた知見をもとに、カトリック教会内の研究組織である「オリエンス宗教研究所」におけるセミナーにおいて「我が国におけるカトリック学校の現状と課題」と題して研究発表を行ない、これをもとに加藤信朗東京都立大学名誉教授(ギリシア哲学・教父哲学)、鶴岡賀雄東京大学教授(宗教学)らと意見交換を行った。
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Research Products
(5 results)