2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520006
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
桑子 敏雄 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (30134422)
|
Keywords | 景観倫理 / 価値構造 / 景観法 / 倫理学 / 景観政策 / 行政システム / 行政プロセス / 市民参加 |
Research Abstract |
本研究は、「景観倫理の構築」という課題を、理論構築と実践的場面での調査の両面から行う。平成18年度は、景観にかかわる社会的合意形成の現場に関する具体的事例の調査を通して、景観倫理構築のための方法論を探索した。 景観形成の倫理にかかわる事例について調査を行い、景観形成における倫理的な価値とは何かを掘り起こすことに努めた。 (1)長野県上田市のため池を含む田園景観の整備事業 (2)長野県山ノ内町志賀高原の自然再生への取り組み (3)佐賀県神埼市の城原川ダム建設をめぐる論争 (4)島根県松江市の大橋川改修事業での景観問題 (5)国土交通省道路局のシーニック・バイウェイ事業 等について、現地関係者と連絡をとりながら、それぞれについて景観形成の課題を明らかにするよう努めた。 とくに(1)の事業では、上田市舌喰池の景観整備を行っている地域住民、地方自治体の関係者、国土交通省関係者、農林水産省関係者との意見交換によって、ため池の洪水調節機能(農水省)と治水機能(国交省)という行政単位による空間認識の違いが景観形成にも大きな影響を与えているという認識を得た。 また、松江の大橋川に関して、東京工業大学大学院の大和毅彦教授と地元行政関係者との研究打合せにより、景観をめぐる行政プロセスと意思決定の課題について理解を深めた。 本年度は、景観倫理の構築のためのキーワードとして、行政システムおよび行政プロセス、自然環境と社会環境のつながりの認識、市民参加等について理解を深めることができた。
|