2008 Fiscal Year Annual Research Report
思考の新しいフェーズとしてのシミュレーションの哲学的考察
Project/Area Number |
18520010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
出口 康夫 Kyoto University, 文学研究科, 准教授 (20314073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 千草 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (10362419)
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Keywords | シミュレーション / 科学方法論 / パンチカード計算機 / エッカート / フォン・ノイマン / カオス研究 / 科学計算 / ローレンツ |
Research Abstract |
出口はフォン・ノイマンの衝撃波シミュレーションやE.ローレンツのカオス・シミュレーションに関する研究など、これまでの当科研費研究で行った諸研究をまとめ、技術と一体化した、シミュレーション科学についての新たな見方を構想し、論文として発表した。また喜多はアメリカのチャールズ・バベッジ研究所において、パンチカード式計算機を用いた科学計算の方法論を構築したE.エッカートのマニュスクリプト資料の資料収集を行った。この資料にもとづき、上記のシミュレーション科学観をより具体的に肉づけし展開するため、出口と喜多はエッカートの方法論と、それを緩用したフォン・ノイマンのシミュレーションの比較検討を進め、両者の方法論的異同を分析するとともに、それ以前の科学計算に比べたシミュレーションの特質の析出を試みた。この比較作業には、喜多がプリンストン高等研究所で収集した、フォン・ノイマンのマニュスクリプト資料も参照に供された。出口と喜多はこの比較研究の成果を計算機という装置が、(保険計算・科学計算・シミュレーションといった)異なった利用環境の中で、その利用対象の在り方をいかに規定し、また利用対象に応じていかに変化していったのかを追跡した。一定の利用環境との相互作用の中で、計算機というテクノロジーがいかに自律的な発展を遂げていったのかを明らかにしようと試みたのである(この研究の成果は2009年度のアメリカの技術史学会(SHOT)で発表される予定である)。
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Research Products
(12 results)