2007 Fiscal Year Annual Research Report
「具体的なもの」の系譜とサルトル哲学の展開についての研究
Project/Area Number |
18520023
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Research Institution | Sapporo International University |
Principal Investigator |
水野 浩二 Sapporo International University, 人文学部, 教授 (20181901)
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Keywords | 哲学 / 倫理学 |
Research Abstract |
2007年7月、日本サルトル学会の研究例会において(青山学院大学)、サルトルの遺稿『倫理学ノート』p.26〜p.53について口頭発表を行い、それを翻訳として「平成18年度〜平成19年度科学研究費補助金基盤研究(C)研究成果報告書」(以下、「報告書」と略記する)に掲載した。これはサルトルの後期思想の中で展開される歴史観なども垣間見られる箇所の翻訳である。2007年11月、現象学を語る会において(仙台市民会館)、サルトルの遺稿「倫理と歴史」(コーネル大学講演)について口頭発表を行い、それを論文として「報告書」に掲載した。サルトルにとって、人間になるという無条件的可能性は、究極的な倫理的規範であり、そうした規範が人間的実践を導き、そうした実践をとおして歴史が導かれる、とされる。また、「報告書」には、同じく遺稿である『弁証法的理性批判』第二巻の中の表現である「全体化するものなき全体化」についての考究を、論文として掲載し、さらには、J・ヴァールの『具体的なものへ』(1932年)の「第二版まえがき」と「序論」の翻訳、並びに、「具体的なもの」という観念とサルトル哲学との関係について考究した論文を掲載した。サルトルによれば、スターリン主義を生み出したもの(全体化するもの=全体化の主体)は、スターリンである。ただし、スターリンは個人ではなく、共同的個人である、という。「具体的なもの」に関しては、サルトル自身、「具体的倫理」、「具体的なものの水準としての歴史」といった表現で、大きな影響を受けている。そもそも、J・ヴァールが指摘する「具体的なものへ」の運動は、一九三〇年代におけるフランス哲学の発展に大いに影響を与えていると思われる。J・ヴァールのその著書自体の翻訳出版をただいま準備中である。
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Research Products
(5 results)