2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520027
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
大黒 岳彦 Meiji University, 情報コミュニケーション学部, 教授 (30369441)
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Keywords | サイバネティックス / 自己言及 / オートポイエーシス / 情報社会 / 社会システム論 |
Research Abstract |
本年度は研究の最終年度であり、サイバネティックスが情報社会の成立にどのような影響を与えたのかを中心に考察を進めた。具体的には、 1.ウィーナー、アシュビーを中心とするメイシー会議が主導した第一次サイバネティックス後のH.vonフェルスターを軸とする生物コンピュータ研究所を舞台に展開された第二次サイバネティックスが、それまでの対象レベルにおける目的論的ループを認識のレベルに適用することで自己言及的な関係を実在化しようとした、その理路を追った。 2.ウィーナー、アシュビー、フェルスターは、その理論や方法論においては顕著な差が認められるものの、サイバネティックスの原理論的な考察という点では軌を一にする。それに対して、生理学や人類学、社会学や精神分析(家族療法)の分野でサイバネティックスの成果を踏まえた業績が1970年代以降現れ始めた。G.ベイトソン、F.ヴァレーラ、N.ルーマン等の仕事である。こうした分化したサイバネティックスの諸相を概観した。 3.最後にこうしたサイバネティックスの諸潮流が現今の情報社会の基盤を作っていることを主として社会システム論の見地から明らかにしようとした。 最終的な研究成果は『サイバネティックス再考/再興-N.ルーマン社会システム論の起源』(仮題)という書籍によって公にするつもりであるが、完成にはいましばらく時間を要する。
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