2008 Fiscal Year Annual Research Report
山王神道における神仏関係思想の原理に関する倫理学的基礎研究
Project/Area Number |
18520030
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
上原 雅文 University of East Asia, 人間科学部, 教授 (30330723)
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Keywords | 仏法 / 神 / 神道 / 神仏習合 / 山王神道 |
Research Abstract |
今年度は最終年度のため、昨年度までの研究を継続するとともに、研究成果の報告書を作成した。実施した研究内容は、以下の通りである。 1. 昨年度からの継続で、『耀天記』中の「山王事」を読解し、そこに見られる物語的な知の様態について考察した。『古事記』神話の構造についても整理し、それと比較しつつ、山王神道の神話的構造を明らかにした。また、物語的な知の様態と神仏関係思想との関係を考察した。 2. 昨年からの継続で『旧事本紀玄義』『豊葦原神風和記』を読解し、慈遍による新しい日本神話において、どのような神仏関係が考えられているかを整理した。そして、その神仏関係に基づく神話が倫理思想としてどのような新しい意味を持ったかについて考察した。『審鎮要記』に見られる「性等神」「覚等神」「邪等神」、あるいは他の書に見られる「法性神」「有覚神」「実迷神」などの神分類の意味と相互連関についても、ある程度の見通しを付けることができた。 3. 昨年からの継続で『山家要略記』を読解し、「厳神霊応章」と「三宝住持集」との関係、および成立時期について整理した。そして、山王神道における神仏関係思想(倫理思想)を、最澄思想からの展開過程として整理した。 4. 仏法と神との関係は、当時の日本においては普遍と特殊との関係思想であるが、それは同時に人間の理知と感性・欲望との関係思想であり、現在にも通じる倫理思想である。その観点から、神仏関係思想の倫理学的な意味についても原理的に考察した。
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