2007 Fiscal Year Annual Research Report
インド大乗仏教における瑜伽行唯識学派成立過程の研究-無著の著作順序を手がかりに-
| Project/Area Number |
18520041
|
|---|
| Research Institution | Shiga University of Medical Science |
|---|
Principal Investigator |
早島 理 Shiga University of Medical Science, 医学部, 教授 (60108272)
|
|---|
| Keywords | 大乗仏教瑜伽識学派 / 菩薩と声聞 / 弥勒Maitreya / 無著Asanga / 『大乗荘厳経論』 / 『攝大乗論』 / 三性説 / 阿含 |
|---|
| Research Abstract |
1.平成15・16年度科学研究費の成果である,無著造『顕揚聖教論』における菩薩と聖弟子声聞の修行階梯・内容の区別に基づく〓伽行学派の成立研究をもとに,同じく無著の著作である『大乗阿毘達磨集論』(および大乗阿毘達磨雑集論』),『攝大乗論』における菩薩と聖弟子声聞の修行階梯・内容の区別による研究を行った。
2.無著の思想を集大成した『攝大乗論』は次の三種の思想を継承しつつ、〓伽行思想を完成させたと理解することができよう。
1)阿含経典以来の伝統的教理は『〓伽師地論』を経て無著造『顕揚聖教論』に伝承された。その『顕揚聖教論』に説かれる菩薩と聖弟子声聞の修行階梯・内容の区別と併置関係を『攝大乗論』は継承した。
2)阿毘達磨仏教で成立した精緻な仏教教義は,大乗的変容を受けながら無著造『大乗阿毘達磨集論』に伝承された。この大乗的アビダルマ理論を『攝大乗論』は継承した。
3)『解深密経』などの大乗経典に説かれ、『大乗荘厳経論』に代表されるいわゆる弥勒論書において展開された,新たな〓伽行思想の根幹である,阿頼耶識論・三性説・菩薩道の体系を,『攝大乗論』は継承した。
以上の研究成果は,2007,年12月8-11日中国広州中山大学人文学院仏学センターで開催された「AcademicConference‘International Sympoosium on Yogacara Buddhism:East-Asian Thought and Buddhist Tradition(唯識学思想と東アジア仏教伝統に関する国際学術会議)」において,「On a Buddha-kaya Theory in the Hsien-yang-sheng-lun by Asanga」の論題で発表された。その論文は公刊準備中である。
|
-
-
-
-
-
[Book] 仏教思想の奔流2007
Author(s)
早島 理, 他2名
Total Pages
328
Publisher
自照社出版
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より
-
