2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
白館 戒雲 大谷大学, 文学部, 教授 (10179062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵藤 一夫 大谷大学, 文学部, 教授 (30218747)
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Keywords | 『量評釈』 / 『解脱道作明』 / Thar lam gsal byed / ギャルツァプ・タルマリンチェン / 論理学・認識論 / 中観と論理学 / 『宝徳蔵般若経』 / 『解脱荘厳』 |
Research Abstract |
中心的な課題として、ダルマキールティの主著『量評釈』に対する多くの註釈のうち、チベットで最も重要なものであり、ツォンカバの法嗣ギャルツァプ・タルマリンチェンの著r解脱道作明』の翻訳研究を行った。全4章のうち、第2章「量の成立(仏の権威性の確立)」は、偶頌の翻訳はすでに終っていたが、今年度には残りの註釈の翻訳全体を完成させた。詳細な研究も6割強ほどまで進めた。そして「量の成立」章の5分の1はすでに発表していたが、本年度は全体の2分の1までを発表した。第3章「現量(直接知覚)」に関しては、本年度は偶頌全体の翻訳を完成させて、『註釈』の翻訳も7割ほどを完成させた。そして「現量」章の約6分の1については詳細な研究を含めて発表した。 副次的な研究の第一として、ダルマキールティの論理学の内容が、インドのナーガールジュナ以来の中観の立場における「縁起」の思想との関連において、ツォンカパとその弟子たちによりいかに考えられたのかをまとめて、発表した。 また副次的な研究の第二として、上記の第2章「量の成立」は、利他のために成仏を目指す実践の階梯として「菩提道次第」(ラムリム)の内容であるともされているから、「菩提道次第」に関する重要な典籍二つを翻訳研究した。一つは、『八千頌』など大部の『般若経』の要約版でもありチベット仏教圏で僧俗ともに広く用いられる『宝徳蔵般若経』である。これをインドの註釈3本、チベットの註釈2本、『現観荘厳論』『八千頌般若纏』などを参照しながら、翻訳研究し、公表した。もう一つは、ミラレパの法嗣であり、その大印とカダム派の道次第を合流させて、後代に大きな影響を与えたガムポパ(1079-1153 タクポ・カギュ派開祖)の主著『道次第解脱宝荘厳』である。これもまた、インド、チベットの先行文献『集学論』『菩提道灯論』『教次第大論』などと比較し、翻訳研究した。これは来年度に出版する予定である。
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Research Products
(4 results)