2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520047
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Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
佐々木 閑 Hanazono University, 文学部, 教授 (40225868)
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Keywords | 婆沙論 / アビダルマ / 説一切有部 / 阿含経 / 原子論 |
Research Abstract |
本研究は、仏教史上最大の哲学書である『婆沙論』の総合的調査により、仏教哲学の発展史の解明を目指すものであるが、21年度の研究により、基本的データベースの完成、引用経典の出典解明、アビダルマ的哲学問題の解決など、多くの成果が得られた。基本的データベースに関しては、『婆沙論』の異なる3本のヴァージョンに関する異同調査をすべて終了。特に、新婆沙と旧婆沙の相違点約3500ヵ所をすべて洗い出して一覧にできたことで、婆沙論の研究に新たな局面を開くことができるものと期待される。引用経典の出典解明についても、かなりの部分を解明することができた。また、アビダルマ的哲学問題に関しては、「原子論」の新解釈や、「物質の透明性の問題」など、調査する中で、従来不明だったアビダルマにおける様々な哲学的問題を解決することもできた。これらの結果はすでに論文で発表済みである。いまだ未解明の部分が多い『婆沙論』研究ではあるが、こういった基礎的情報をさらに集積していくことで、その全貌が明らかになる日の来ることを期待している。なお、2011年に台湾で開かれる国際仏教学会の学術大会には『婆沙論』研究に特化したパネルも設けられることとなり、『婆沙論』研究の盛り上がりが感じられる。今後もこの流れが続くことを期待している。
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Research Products
(4 results)