2006 Fiscal Year Annual Research Report
都市部における死者儀礼の共同性と個人性に関する比較研究
Project/Area Number |
18520050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 興匡 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助手 (40292742)
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Keywords | 葬儀 / 個人化 / 社葬 / 近代化 / 家 |
Research Abstract |
本研究は、現代日本の死および葬儀慣習の変化とその意味づけについて分析を行うこと目的する。平成18年度には、その前提条件を明らかにするために、予備的調査として、まず首都圏に限定して調査を行った。具体的には、(1)葬祭関連諸団体に対する調査と、(2)都内社葬の実態調査の2つを並行して行った。 (1)葬祭関連団体に対する聞き取り・観察調査としては、東京、神奈川、千葉、の葬祭業者から、近年の首都圏の葬儀の変化の動向について聞き取りを行った。どの都県の業者からも、葬儀参列者の減少傾向についての指摘が得られ、首都圏全体の傾向として認められることがわかった。聞き取りでは、後継者を持たない高齢者が増加しており、そうした人々を対象とした生前契約のサービスを実施、もしくは検討している業者が多いことが明らかとなった。その他得られた知見からも、特に首都圏において、葬られる者、葬る側の双方が高齢化していること、また、葬儀を故人およびその周辺の人々のものと考える葬儀の個人化の傾向がさらに進展しつつあり、それが結果として葬儀のあり方の多様化を促していることが確認できた。 (2)都内社葬調査は、近年の葬儀の動きのうち、特に社葬の変化について調査を行うもので、『社葬の経営人類学』(東方出版:1999年)の中で行った社葬についての調査研究の追調査を目指した。平成18年度は、実際の聞き取り調査の予備調査として、文献資料の収集による現状把握を行った。青山葬儀所のような広い葬祭会場を使った社葬は減少し、ホテルを使ったお別れ会形式のものが増加していることが、ある程度あきらかになった。
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