2007 Fiscal Year Annual Research Report
都市部における死者儀礼の共同性と個人性に関する比較研究
Project/Area Number |
18520050
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
村上 興匡 Taisho University, 文学部, 准教授 (40292742)
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Keywords | 葬儀 / 個人化 / 社葬 / 近代化 / 家 |
Research Abstract |
本研究は、現代日本の死および葬儀慣習の変化とその意味づけについて分析を行うことを目的する。平成19年度は前年度に続いて、その前提条件を明らかにするための調査を行った。具体的には、(1)葬祭関連諸団体に対する調査と、(2)都内・社葬の実態調査の2つを並行して行った。 (2)については、前年度の調査を継続した。 (1)については、前年度行った首都圏地域(東京、神奈川、千葉)から調査範囲を広げ、それ以外の地域(名古屋、大阪など)の葬祭業者(葬儀社、霊園業者)からの聞き取り調査もおこなった。どの都市においても首都圏地域と同様に、独立高齢夫婦世帯、世代間別居が増加しており、後継者難による生前契約の増加や、葬儀を故人およびその周辺の人々のものと考える葬儀の個人化の傾向が進展しつつあることが明らかになった。しかしながら、その一方で、それぞれの地域的特徴を強く残しており、首都圏とは異なった葬儀サービス、霊園の形態が見られた。その結果、全国的なレベルで葬儀の多様化が進んでいることがわかった。 10月には日仏会館(東京都渋谷区恵比寿)主催のシンポジウム「葬儀と墓地の比較社会論-日本・フランス・中国」において成果発表、および意見交換をおこなった。明治以降から現代にかけての、都市における葬祭業の変遷ついて発表するとともに、日本、フランス、中国ともに社会変化による葬儀慣習(遺体処理、人間関係処理、心理的処理)の変化を追うにとどまり、葬儀をおこなう側の世俗外的な価値、世界観の問題(信仰および死生観の問題)についての考察を行うことが必要であるとの指摘をおこなった。 2年間の研究結果を成果報告書にまとめる。
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Research Products
(1 results)