2007 Fiscal Year Annual Research Report
近現代宗教論における「生の宗教」の系譜をめぐる時代比較的研究
Project/Area Number |
18520051
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
深澤 英隆 Hitotsubashi University, 大学院・社会学研究科, 教授 (30208912)
|
Keywords | 宗教学 / 生の宗教 / G・ジンメル / 近代宗教 / 内在主義 / フィドゥス / 民族主義宗教運動 / 新異教主義 |
Research Abstract |
本研究の課題は、内在的な「生」そのものを究極的な価値とする「生の宗教」の思想(運動)の系譜のあとづけと、その時代比較的研究であった。平成19年度は、平成18年度に引き続き19世紀末前後のドイツを中心とした「生の宗教」の一般動向の把握に努めるとともに、とりわけ同時期の「生=生活改革運動」(Lebepsre formbewe gung)における宗教性の問題を、この運動の諸傾向を集約する象徴的存在であった画家・宗教運動家のフィドゥスを中心に据えつつ考えた。またヘッセン州の青年運動資料館およびベルリン州立図書館などで、フィドスの遺稿資料および生の宗教の関連資料を収集した。時代比較的問いとしては、やはり平成18年度に引き続き、現代ドイツにおける新異教主義宗教運動における生=生命主義的傾向を、原資料の収集と、運動体のブログや文書資料の分析などを通じて解明することを試みた。この現代の生の宗教運動は、戦前期のそれと比べて、思想背景を共有しているにもかかわらず、思想内容やジェンダー役割、組織的編成などにおいて、アクセントの置き方が大きく異なっている。平成19年度は、こうした時代比較上の変容と歴史的背景や社会状況の変化とを関係づけて考えることにも着手した。 また、こうした運動に深く関連し、生の宗教をも包摂するよりひろい一般概念である「知識人宗教」の概念について、歴史的・理論的考察を深めた。その成果をもとに、日本宗教学会においては、代表者として、5名の発表者からなるパネル発表「『知識人宗教』の問題圏」を組織し、「「知識人宗教」の概念の生成と射程」のタイトルにて発表を行った。
|
Research Products
(1 results)