2008 Fiscal Year Annual Research Report
<いのち>の意味-宗教・教育・精神病理学の立場からの協働的再検討-
Project/Area Number |
18520055
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Research Institution | Jin-ai University |
Principal Investigator |
薗田 坦 Jin-ai University, 人間学部, 教授 (40047072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗 孝文 仁愛大学, 人間学部, 教授 (10067613)
三脇 康生 仁愛大学, 人間学部, 准教授 (40352877)
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Keywords | いのち / 生命の尊厳 / メメント・モリ / 老人と子供 / 正常と異常 / Quality of life |
Research Abstract |
本研究の最終年度にあたる平成20年度において、3年間の共同研究の成果と言えるものを、ある程度形をもって総括・発表することができた。<いのち>の意味と、「正常なこころ」をもって生きることの意義が、三人での共同研究・討議を通じて明らかにされたが、その成果は大きく次の二つにまとめられる。 一つは、分担者三脇と、昨年度、研究補助者として参加いただいた多賀茂氏との共同編著『医療環境を変える』に見られる、「正常なこころ」の精神療法をめぐる新たな制度的思考の必要性を明確化した考察である。社会の全体が「病んでいる」とみなされる現代にあって「制度を使った精神療法」は、病院だけの問題ではない。現代の精神疾患治療と、正常な<いのち>の意味の、接点ないし関連がここで浮き彫りにされたと言える。 いま一つは、人間的苦悩や宗教的霊性の探究を通じて、<いのち>の意味をさぐる方向である。代表者の薗田は、宗教と<いのち>の連関をシェーラーやティリッヒの宗教哲学的思想を手がかりとしながら、真実に生きる<いのち>の究極的意義を『現代の人間と宗教』のうちで考察・解明し、また分担者の宗は、メメント・モリの思想をふまえた「苦悩」の意味を人間教育の基礎とする、<いのち>の意義づけの重要性を強調した。 精神医学、宗教、教育という三つの分野における問題が、決して無関係のものではなく、<いのち>の意味の探究において深く関わり合うことが改めて確認され、その再認識が協働的研究の大きな意義として挙げられるであろう。
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Research Products
(6 results)